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2020.07.10Media

【LIVEレポート】「Destiny Rock festival」

2020年6月27日に「アルゴナビス from BanG Dream!」による音声のみの体験型ライブ「ARGONAVIS Sound Only Live -Destiny Rock festival-」が開催された。本ライブは『テレビアニメ アルゴナビス from BanG Dream!』の展開とリンクした、キャラクターが織りなす”音”のみのLIVEとなる。本稿ではその模様をレポートする。

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Destiny Rock festival、略称『ディスフェス』は北海道で開催される、国内最大級の野外フェスティバルだ。国内外の大物アーティストのほか、有望な若手バンドも多く参加する。一日目は台風の接近に伴う悪天候により急遽中止されたが、二日目は無事晴天での開催となった。このレポートでは二日目にステージに立った、注目の若手バンドを紹介しよう。

荘厳な鐘の音と共にステージに登場したのは「Fantôme Iris(ファントムイリス)」。名古屋出身のヴィジュアル系バンドで、吸血鬼と人間が共存する国を建てることを目指し、旅する吸血鬼と人間たち……という設定だという。豪奢な衣装に身を包んだ彼らは、ステージに着き『棺の中のセラヴィ』からスタート。クラシカルなメロディと、「血濡れの紳士、這いずる淑女、お待ちしておりました」と歌い上げるFELIXの妖しい歌声で、フェス会場は一気にFantôme Irisの世界へ。 

続いたのはDによるドラムソロだ。髪を乱しながら、逞しい身体でパワフルな音を刻む。そこからステージ前面で身を乗り出したZACKの「ぶっ〇してやるぜぇ!」という過激な絶叫に度肝を抜かれたのは、二曲目『ザクロ』。

甘やかな一曲目から打って変わり、LIGHTとZACKの二人が攻撃的なギターサウンドを掻き鳴らす。それを支えるのは、女形ながら骨太で安定感のある音を奏でるベース・HARU。頽廃的な歌詞とシャウトで、きらびやかなだけではないファントムの魅力を見せた。

立て続けの二曲を終えたFELIXは大きく腕を広げ「ようこそ、新たに盟約を交わし、我が眷属となった者たちよ」と会場に呼びかける。

そして「怜悧な王の右腕」と紹介されたギター・LIGHTは「我が君に忠誠を」とFELIXに向かい恭しく一礼する。
「残虐非道の申し子」と紹介されたギター・ZACKは「全部壊してやるよ!」と危険な哄笑を響かせた。
「苛烈な夜の女王」と紹介されたベース・HARUは、可憐な見た目を裏切る力強い声で「暴れてやるぜ!」と宣言。
「黙する聖職者」と紹介されたドラム・Dは「さぁ、好きに暴れてくれ」と落ちついた佇まいだ。
「我こそがすべての吸血鬼を統べる王 。今宵の宴、存分に楽しんでいってくれ」とFELIXが語ると、まるで闇に落ちていくようなイントロからはじまる『銀の百合』へ。彼らの重厚な世界観を象徴するような一曲を、高らかに歌い上げる。

ギターの見せ場では、LIGHTがFELIXのそばに付き従うようなパフォーマンスで魅了する。それに応えるようにFELIXが尖った牙を剥いた瞬間、会場に赤いスポットライトに照らされた花弁が降り注ぐ。それが白いスポットライトに切り替わると、あたかも銀の百合のように彼らを彩った。

次にステージに登場したのは、長崎からやってきたスカバンド「風神RIZING!」。ライブ前には、ステージ脇の天幕から大騒ぎする彼らの声が聞こえるなど、会場のざわめきを呼んだものの無事に定刻のスタートだ。

一曲目は『ランガンラン』。がむしゃらに走る熱さを歌い上げるメロディに、元気なコーラスが重なる。

ランガンラン! と風太が広いステージを縦横無尽に駆けると、一気に会場はフウライの元気印に。絋平と大和も拳をリズミカルに振り上げ、それを煽る。粗削りながらテンションを最高にぶち上げる、ライブの楽しさがめいっぱい感じられるバンドだ。

続く二曲目は『ダチフレンド』。フウライらしく様々な楽器の音色が響く、賑やかな楽曲だ。心をつなげる友達の大切を歌う歌詞を、幼馴染である風太とあおいが歌いあげ、彼らの仲の良さが窺えた。

一息ついたボーカル兼サックスの風太は「台風でやっちゃ大変やったけど、全員揃ってステージに立てて、ほんっとーによかった!」とほっとした様子を見せる。
ギターの椿 大和が「いいライブにしてみせる」とクールな声音で語ると「黙っていればイケメンばい!」と風太が茶々を入れ、会場から笑いが起きた。しかし大和は気に留めた様子はない。
ベースの早坂絋平が「楽しさを届けよう」と頼もしく語り、それに続くようにトロンボーン時々キーボードの若草あおいも「任せとけって!」と男らしく語ったものの「最後まで泣くのは我慢ったい!」と風太が泣き虫をからかい、再び笑いが起きた。
ドラムの五島 岬が「飛ばすぜ! ちゃんとついて来いよ!」が荒っぽく言い放つと、また風太が「見た目ほど怖くなかとよ!」とばらす。そんなコミカルなやり取りもフウライらしさだろう。

そしてステージ中央に立った風太が「北海道のみんな!思いっ…… きり!騒いで、叫んで、笑って、跳ばんばよ!」と煽り、ライブの定番となった『バンザイRIZING!!!』へ。華やかな長崎の街並みが思い浮かぶような、ワクワクいっぱいの楽曲だ。

メンバー全員による「よかたいコール」では、各メンバーの個性が溢れるコールに「バンザイ!」と会場の声も重なった。テンションがピークとなり、風太が「ライブ最高だー!」と思いを爆発させると、ステージにカラフルな紙吹雪が降り注ぐ。その中を、水を得た魚のように風太、大和、絋平、あおいが駆け、跳ねまわった。

続いて電子音が鳴り響くなかステージに現れたのは、京都発のオルタナティブロックバンド「εpsilonΦ」。ダックリバー社の御曹司であるボーカルの宇治川紫夕率いる中高生のバンドで、ディスフェス最年少となる。
一曲目は『Cynicaltic Fakestar』。特筆すべきなのは伸びやかな高音の紫夕の声と、ギターを掻き鳴らしながら低く歌い上げる遥の声だろう。質の違うふたつの声が重なり、ほかにない個性的な音が生まれている。中学生ながら大舞台に怯むことなく、場を我がものにしている紫夕は、さすがは名高い天才少年といったところ。

続く二曲目は『Play With You』。オルゴールのようなキラキラとしたメロディから、一転して激しい曲調になると、紫夕の声が甘いロリポップのように響く。その様子はどこまでも無邪気で楽しげだが、「おもちゃの首で鮮やかな絵を描こう」と歌う姿は毒を孕み、そのギャップがどこか恐ろしい。壊れた遊園地のようなメロディには、烏丸の激しいドラムが重なる。普段の冷静な振る舞いを裏切るパワープレイは高校生離れしている。
二曲を歌い終え、会場を見下ろした紫夕は「おにーさんも、おねーさんも、みんな楽しそうやねぇ。僕もまぜてもらお思うて、北海道にお邪魔してます」と笑った。
紫夕から「そこのだるそうなんがギター&ボーカル、⼆条 遥」と紹介された遥は「めんどくせぇ」と吐き捨てるように一言。その双子の弟でベースの⼆条 奏は「かなちゃんにお任せってね!」とウインクを飛ばし、遥に嫌悪の目を向けられている。
それを気にかけることなくシンセサイザーの鞍⾺唯⾂は「みんな楽しそうだ」と観客に笑顔を向ける。
ドラムの烏丸玲司は表情を動かさず「成すべきを成すまで、です」と機械的に挨拶し、会場を一瞥した。
歪なメンバーを気にする様子もない紫夕は「まぁ、短い時間やったけど、なかなか楽しめたわ。そろそろお暇さしてもらうけど、最後まで気ぃ抜いたらあかんよ?」と語り、ラストは「光の悪魔」を披露した。
紫夕と遥がハイレベルな高音で歌い上げるのを、卓越した技術のリズム隊が支える。見せ場が多く目が離せない一曲だ。ギターの遥とベースの奏がお互いを削りあうような演奏を魅せると、歓声が巻き起こった。そして会場の盛り上がりが最高潮に達すと、激しく明滅するビビットパープルのレーザー光が会場を彼らの色に染め上げた。

次のステージは札幌を拠点に活動する「GYROAXIA」。若手バンドの中でも評判が高く、Fantôme IrisのFELIXやεpsilonΦの紫夕などからも注目を浴びている。

ステージに現れた5人のうち、やや緊張した面持ちなのはドラムの深幸、リズムギターの礼音だ。対して歓声を受け微笑んでいるのは賢汰と涼。ボーカルの那由多は広大な会場をまるで睨みつけるように見渡している。
これが宣戦布告だとでも言うように『MANIFESTO』からスタート。

掻き鳴らす礼音のギターと鮮烈な那由多のシャウトで、会場は一瞬にしてジャイロの空気に。まさに大舞台でも揺らがない王者の風格だ。
「お前ら! もう縛られんな、ここからは好きに騒げ!」
と那由多が宣言すると、熱狂のコール&レスポンスがひとつになった。
間断なく続いた『REVOLUTION』では緊張も解けてきたのか、さらに演奏の熱もヒートアップする。いつも飄々として掴みどころのない涼は心から楽しそうに。ドラムの深幸は華麗なスティックを回し、パフォーマンスでも魅せた。
二曲を終えた那由多は会場を睥睨し、メンバーのパートと名前だけを簡略に吐き捨てた。
「ごちゃごちゃ⾔うつもりはねえ。GYROAXIA の⾳楽を聞け、それが全てだ――俺は、世界を奪う」という台詞からの『EGOIST』は、ひときわエッジの効いた歌唱で、那由多の魅力が堪能できる楽曲だ。深幸のドラムと賢汰のギターサウンドが重なり、那由多の声をしっかりと支える。そんな中、くだらない世界に中指を立てる那由多は傲岸不遜に「We are GYROAXIA」と宣言した。
 続く四曲目はダンスビートの感じられる『LIAR』だ。命を吐き出すような、那由多のスクリームが響く。
「足りねえ。お前ら、もっと声出せんだろ! まだだ、まだ⾜りねえ!」と会場を煽り、力のすべてを出し尽くすラストは『SCATTER』。その熱を現したように爆発がステージ上で巻き起こり、GYROAXIAを深紅の炎が包みこんだ。

そして演奏を終えたメンバーがステージから去ろうとする中、那由多はそこから観客を睨みつけ、突然マイクを取った。
「七星 蓮。いるならステージに上がってこい。いるんだろ、七星 蓮。来い!」
 動揺のざわめきのなか、パイプフェンスを越え那由多の手を取り、ステージに現れたのは一人の青年だ。
「次のステージはArgonavis。こいつらの歌を聞いてやってくれ」
 と促す那由多に蓮という青年も、
「Argonavisです。精一杯演奏します。僕たちの歌を聴いてください!」
 と声を張り上げる。突然の乱入者によって会場に驚きが広がったが「頑張れ」という声援もあがった。

太陽が沈みあたりが夕暮れに染まるころ、ステージに現れたのは「Argonavis」だった。函館を拠点に活動するバンドで、結成から日は浅いながら、急速に実力と人気をつけてきた大学生バンドだ。ディスフェスのチャレンジ枠の投票で、GYROAXIAに続く二位となったが、出場には至らなかった。
全身に緊張と期待をたたえた5人が位置につき、一曲目は『ゴールライン』。

会場に爽やかなブルーの光が満ちるなか、まだ幼さの残るいでたちのボーカルの蓮が拳を振り上げ、堂々たるパフォーマンスを披露する。
偶然が重なり、ようやく到達したステージに5人は感慨深そうな面持ちだ。そこで彼らは、今はまだゴールじゃないと誓う。
「みなさん、はじめましてArgonavis です! このステージに僕を呼んでくれた、GYROAXIAの旭 那由多くんに恥ずかしくない演奏を……ううん、負けない演奏をします!」
と蓮は力強く語った。
「憧れのステージで、みなさんに僕たちの歌を届けられることが、本当に嬉しい。聴いてください。僕たちArgonavis の、はじまりの航海のうた――『Steady Goes!』」
そして演奏されたのは、万浬の楽しげなドラムからスタートする思い出深い一曲だ。苦楽を共にしたメロディを全員で大切に届けた。蓮の「On Guitar 五稜結人!」の声で、ギターの結人はステージの前方へ。見事なギターソロを奏でるその目には、わずかに涙がにじむ。
すぐさま続く三曲目は『STARTING OVER』。目で力強く頷きあう様子には、Argonavisが歩んできた険しい道のりと、これからの未来への覚悟が満ちている。
四曲目は『AGAIN』。「涙と挫折さえ抱きしめて 今振り絞れ!」と歌いあげる蓮に、凛生も噛み締めるようにコーラスを重ねた。
一気に三曲を駆け抜けた蓮はマイクを握りしめ、「僕たちArgonavis の、新しい曲を聴いてください」と会場に呼びかける。そして初めて披露されたのは、全員の声を届ける『VOICE』だ。
ベースの航海によって詞が作られた、メンバーの一人ひとりが声を繋げていくこの曲。彼らの声と想いが重なり、美しい星座のようなメロディを紡ぐ。まだ漕ぎ出したばかりのArgonavisという”運命の船”がどこまでいくのか見届けたくなる、そんなステージとなった。

台風による一日目の中止、そしてArgonavisの電撃参戦と、予期せぬことが起きた今回。新たなる熱が生まれたことを感じられる、大盛り上がりのフェスとなった。個性あふれる若きバンドたちのつくり出す熱狂がどこまで広がっていくのか、今後も注目してほしい。

ARGONAVIS Sound Only Live「Destiny Rock festival」

◆セットリスト
01.棺の中のセラヴィ/Fantome Iris
02.ザクロ/Fantome Iris
03.銀の百合/Fantome Iris
04.ランガンラン/風神RIZING!
05.ダチフレンド/風神RIZING!
06.バンザイRIZING!!!/風神RIZING!
07.Cynicaltic Fakestar/epsilonφ
08.Play With You/epsilonφ
09.光の悪魔/epsilonφ
10.MANIFESTO/ GYROAXIA
11.REVOLUTION/ GYROAXIA
12.EGOIST/ GYROAXIA
13.LIAR/ GYROAXIA
14.SCATTER/ GYROAXIA
15.ゴールライン/Argonavis
16.Steady Goes!/Argonavis
17.STARTING OVER/Argonavis
18.AGAIN/Argonavis
19.VOICE/Argonavis

出演
Argonavis
Vo.七星 蓮(CV.伊藤昌弘)、Gt.五稜結人(CV.日向大輔)、Ba.的場航海(CV.前田誠二)、Key.桔梗凛生(CV.森嶋秀太)、Dr.白石万浬(CV.橋本祥平)

GYROAXIA
Vo.旭 那由多(CV.小笠原 仁)、Gt.里塚賢汰(CV.橋本真一)、Gt.美園礼音(CV.真野拓実)、Ba.曙 涼(CV.秋谷啓斗)、Dr.界川深幸(CV.宮内告典)

εpsilonΦ
Vo.宇治川紫夕(CV.榊原優希)、Gt.&Vo.二条 遥(CV.梶原岳人)、Ba.二条 奏(CV.市川太一)、Syn.鞍馬唯臣(CV.峰岸 佳)、Dr.烏丸玲司(CV.立花慎之介)

Fantôme Iris
Vo.FELIX(CV.ランズベリー・アーサー)、Gt.LIGHT(CV.和田将弥)、Gt.ZACK(CV.福山 潤)、Ba.HARU(CV.代永 翼)、Dr.D(CV.鮎川太陽)

風神RIZING!
Vo. & Sax.神ノ島風太(CV.中島ヨシキ)、Gt.椿 大和(CV.金子 誠)、Ba.早坂絋平(CV.阿部 敦)、Tb.若草あおい(CV.酒井広大)、Dr.五島 岬(CV.吉野裕行)
 
【取材・文】鷹羽 知

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