from ARGONAVIS Official Site
2022.09.09Live/Event
ボーイズバンドプロジェクト「from ARGONAVIS」に登場するバンド・GYROAXIAが、2022年9月3日、TOKYO DOME CITY HALLにて「GYROAXIA TOUR 2022 -Freestyle-」のファイナル公演を行った。今年2月にリリースされたメジャーデビューアルバム「Freestyle」がタイトルに掲げられた本ツアーは、ファンはもちろん、彼らにとっても念願の初ツアーとなる。
ツアー中で最も大きな会場であったにもかかわらず、この日は見切れ席も含めすべてのチケットが完売だったという。開演の時刻になり、照明が落ちると、客席を埋め尽くしたファンのペンライトやリングライトが無数の光を放つ。SEに合わせて手拍子が起こり、ステージに現れたメンバーひとりひとりに拍手が上がる。観客たちの期待感がマックスまで高まったその時、「Freestyle」で記念すべきファイナル公演の火蓋が切られ、「火花散ル」「GETTING HIGH」と続けざまに演奏。会場の空気が一気に熱くなった。
このツアーを除けば、GYROAXIAの前回のワンマン公演は2021年9月。合同出演という形でも、大きなステージは2022年1月以来だ。本ツアーはこの東京公演まで配信がなかったこともあり、久しぶりに彼らのライブを観た人も多かっただろう。そうした人の目に、5人はおそらく“本物”と表現する以外の何者でもない姿に見えたのではないだろうか。
圧倒的な歌唱力とカリスマ性を持ち、GYROAXIAを支配するボーカルの旭 那由多(演:小笠原 仁)。冷静だが那由多やバンドのためには苦労も惜しまないリーダー兼ギターの里塚賢汰(演:橋本真一)。忍耐強く頑固だが、努力家で才能あるギター・美園礼音(演:真野拓実)。宇宙人を自称する、マイペースな天才肌のベースの曙 涼(演:秋谷啓斗)。一見軽く見えるが、実はストイックに音楽に向き合うドラムの界川深幸(演:宮内告典)。この5人、GYROAXIAという“絶対的王者”にふさわしい姿と音が、ここにはたしかに存在している。なぜなら、我々が目撃した2019年の初ステージどころか、ここ最近のステージからも、演奏隊のテクニックもボーカルのパワーも驚くほどの成長を見せていたからだ。
短い自己紹介を経て、曲は「SCATTER」へ。イントロでは深幸の元に全員が集まり、再びステージへと散らばっていく。実に“バンド”らしいアクションと、「頼れるのは自分自身の意思だけ」という歌詞のあと、那由多の「そうだろ?」というつぶやきが印象に残る。次に「EGOIST」「BREAK IT DOWN」と異なるグルーヴを感じさせる楽曲で観客を熱狂させると、ステージが暗転。物々しく、何かが始まる予感を感じさせる旋律から、空気を震わす重いドラムが響き渡る。まるで観客の鼓動にも聴こえるその音が高まったピークで、マイクスタンドを高々と掲げる那由多のシルエットが浮かび上がる。彼ら5人はそこにいる観客全員を「NEW ERA」(新時代)へと誘い、「Dawn」(夜明け)を見せた。
涼の「夜明けのコーヒーで那由多を呼び出し作戦」や、演奏隊4人がツアーの思い出を語り合うほのぼのとしたMCコーナーを挟み、後半戦は「MANIFESTO」からスタート。次の「LIAR」「DANCING PARANOIA」では、観客が一体となって縦ノリで地面を揺らす。ある者は拳を振り上げ、ある者は手拍子をし、ある者はステージに向かって腕を伸ばしている。光と音が混じり合うこの瞬間、会場はまさに熱狂の頂点に達していた。
次の曲に入る前、那由多は言った。「誰もが“絶対”って言葉を追い求めて生きてる。でも結局この世には、いま自分が立っているこの場所しか無い。そんなことに気づくのに時間がかかるやつもいれば、その気持ちを胸に抱いて毎日進んでるやつもいる。そういう、自分の中の“絶対”ってもんだけを大事に大事に握りしめて……最後の1曲、かかってこい」――そうして始まった本編ラストは「Existence」。普段は寡黙で、他人に興味がないように見える那由多のこの長い言葉と、「自分自身が信じ続ける限り その灯は消えない」と伝えるこの歌には、誰もが大きく心を揺さぶられたことだろう。
再び登場したGYROAXIAは、アンコール1曲目に「GET MYSELF」を演奏。次の「IGNITION」では、いつもなら客席を鋭く見据える那由多が、背中を向けてワンフレーズを歌った。曲が終わると、賢汰が「俺たちは次のステップへと登っていく。君たちも変わらずに付いてきてほしい」と告げ、「WORLD IS MINE」を披露。5人はスタートからラストまで実に力強く堂々とGYROAXIAの音楽を全うし、ステージを後にした。この日のGYROAXIAのステージには、演奏とパフォーマンスの成長を感じるとともに、観客にしっかりと向き合うかのような那由多の言動でバンドとしての変化を感じた観客も多かったかもしれない。おそらくこのツアーは、彼らが進む道行きの中のマイルストーンのひとつだったと言っても過言ではない。“本物”へと進化したGYROAXIAは、ここからまた新たな未来を切り開いていくのだ。
ダブルアンコールではツアーTシャツに着替えた5人が、キャラクターではなく素のキャスト自身として登場した。“絶対王者”のGYROAXIAではなく、ひらがなの“じゃいろあくしあ”は、お互いの仲がとても良く、ふざけ合いも微笑ましい等身大の青年たちだ。ツアーの面白エピソードや「めちゃくちゃ忙しい人のための『火花散ル』」と「めちゃくちゃ忙しい人のための『MANIFESTO』」の演奏でファンを笑わせつつ、ファイナルを見守ってくれた観客にメッセージを届けていた。
「僕は普段、舞台を中心に役者として活動していて、まさか自分がバンドのギタリストとしてステージに立つなんて夢にも思いませんでした。ここまで大変なこともありましたが、みんなで肩を組んで一歩一歩進んでいくうちに、大きなステージやツアーまでやらせてもらえるようになり、こんなに幸せなことはありません。ファンの皆さんがいてくれるからこそ今があると実感しています。これからも僕たちはまだまだ上っていきます」
「最初から応援してくださった方も、最近僕たちを知って観に来てくださった方もいる中で、僕らは毎回全力でパフォーマンスを届けています。それが、皆さんの明日への活力になっていれば嬉しいです。GYROAXIAはまだ3年、これからもずっとやっていきたいです。もっと技術も上がるし、新しい曲も増え続けて、未来の可能性は無限大だなと。まだまだ大きくなりますので、ぜひ応援してください」
「初ステージでは2曲しか“弾丸”がなかったけど、3年かけて10何曲も演奏できる日が来たのが感慨深いです。ツアーをやってみて、一番心に浮かんだのは感謝の気持ちでした。見えないところでも助けてくれるスタッフさんや、信頼できる仲間たちにいつも救われています。おじいちゃんになっても、こうやって笑いながら音楽をやっているんだろうなと思える仲間に出会えて感謝してます。そして応援してくださる皆さんにも、ありがとうございます。これからも一緒に楽しんでいきましょう!」
「僕は感情を言葉にするのが苦手だから、身体で伝えられるドラムをやってるんです。ずっとコンプレックスでしたが、GYROAXIAに入って気兼ねなく話をできる仲間やスタッフさんに出会えました。ファンの皆さんもお手紙や、ライブ中にすごく素敵な笑顔で応援してくれるのが幸せだなって。僕たちは音楽で皆さんを幸せにしたいと思ってるけど、僕たちのほうが受け取ってるんです。だから、このメンバーでもっと楽しい想いを届けられるように頑張っていけたら……(泣きそうになって)もう駄目だ、あとお願いします!(笑)」
「歌や音楽で自分の力量不足を実感し、少しでもキャラクターに追いつこうともがきながら歩んできました。今回のツアーでは以前より思うラインを超えられるようになり、視野も広がってきたと思います。僕は芸事を人生のど真ん中に置いて生きていますが、選んだ道を進み続けるには、何も考えずにできることではありません。いつも小難しいことばかり考えていますが、どの瞬間も全力で挑むしかないし、僕らがライブしたいという想いと、皆さんが受け取りたいと思う気持ちが合致したところに、唯一絶対的に信じられるものがあるのかなと感じた1ヶ月でした」
最後に全員は「これからもGYROAXIAをよろしくお願いいたします!」と声を合わせた。アンコールで披露した楽曲は、彼らにとっても特別なものという「現状ディストラクション」と「MANIFESTO」だった。これは、2019年12月に彼らが初めてこのステージに立って演奏した思い出の2曲だ。
決して多くはない数ではあるが、これまで彼らは着実に成長していった。この日のセットリストは、アンコールも含めて実に17曲。本ツアーの地方公演も含め、これまでで最も多い曲数だ。大きな成長を感じさせたステージだったが、それをラストのラストまでしっかりと証明してみせたところに、さらなる進化を感じさせた一夜だった。
[取材・文]玉尾たまお
公演名:GYROAXIA TOUR 2022 -Freestyle-
日時・会場: 9月3日(土)TOKYO DOME CITY HALL(東京)
出演:GYROAXIA(旭 那由多:小笠原 仁、里塚賢汰:橋本真一、美園礼音:真野拓実、曙 涼:秋谷啓斗、界川深幸:宮内告典)
詳細:https://argo-bdp.com/live/post-34662/
01.Freestyle
02.火花散ル
03.GETTING HIGH
04.SCATTER
05.EGOIST
06.BREAK IT DOWN
07.NEW ERA
08.Dawn
09. MANIFESTO
10.LIAR
11.DANCING PARANOIA
12.Existence
En1.GET MYSELF
En2.IGNITION
En3.WORLD IS MINE
WEn1.現状ディストラクション(Cover)
WEn2.MANIFESTO
価格:¥4,400(税込)
受付期間:8月14日(日)20:00~9月9日(金)21:00
アーカイブ期間:~9月9日(金)23:59まで
受付URL:https://eplus.jp/gyro2022_freestyle/st/
価格:¥4,400(税込)
受付期間:8月14日(日)20:00~9月9日(金)21:00
アーカイブ期間:~9月9日(金)23:59まで
受付URL:https://ib.eplus.jp/gyro2022_freestyle
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