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2022.11.01Live/Event

「ARGONAVIS Concept LIVE TOUR 宇治川紫夕 Presents TOY’S」オフィシャルライブレポート

ボーイズバンドプロジェクト「from ARGONAVIS」が、2022年10月29日、Zepp Nagoyaにて「ARGONAVIS Concept LIVE TOUR 宇治川紫夕 Presents TOY’S」を開催した。
 本ライブは、プロジェクトに登場するバンドεpsilonΦのボーカル・宇治川紫夕が主催したという設定で、3箇所に渡るコンセプトライブツアー2回目の公演となるものだ。今回はεpsilonΦの楽曲に加え、他バンドの声優やバンドのサポートメンバーによるカバー曲などが演奏され、熱狂の一夜となった。

 トップバッターは、Argonavisのキーボード・桔梗凛生(演:森嶋秀太)がボーカルを担当、ギターに風神RIZING!の椿 大和(サポート:芝山武憲)、ベースに同じく風神RIZING!の早坂絋平(サポート:目黒郁也)、ドラムにGYROAXIAの界川深幸(演:宮内告典)という4人編成の混合バンドだ。彼らが開幕に演奏したのは、とある熱い夏の青春を歌い上げるカバー曲「ドラマチック」。今回のライブは紫夕が主催ということで、何が飛び出すか? と身構えていたファンも多かったかもしれないが、意外にもストレートに聴かせる音楽を持ってきたことに驚く。Argonavisでもラップやコーラスで美声を聴かせる“天才”凛生のボーカルに、所属バンドのお祭り感とは異なる正統派な演奏の大和と絋平、力強くエネルギーに溢れたドラムの深幸の音が混じり合い、爽やかな熱気を生み出している。

 凛生が今回のライブは紫夕がバンド編成やセットリストをプロデュースしたものであることを伝え、観客に向かって「ぜひ一緒に熱い一日にしよう!」と語りかける。メンバー紹介では、深幸が“叩きがいがありそうな編成”と言いつつ、「たくさんみんなを惚れさせてあげるから、お楽しみに」と大人の余裕を見せた。
 続いて、美しくエモーショナルなナンバー「青い栞」、「心の中で一緒に歌ってほしい」と声をかけた「大切なもの」と続き、観客を大いに盛り上げる。実は、彼らが演奏した3曲のカバーは、元の曲のバンドも同じ4人編成なのだ。ひょっとしたらこれも、メンバーのこだわりのひとつだったのかもしれない。

 次の編成では、ボーカルをArgonavisの七星 蓮(演:伊藤昌弘)に交代。イントロの迫力あるドラムから空気がガラリと変わった「READY STEADY GO」へ。演奏隊は先ほどの構成と同じだが、ボーカルと曲が違うだけで、纏う空気が一瞬にして塗り替えられるのが面白い。蓮は余裕さえ感じさせる笑顔を浮かべながら、唯一無二の歌声で観客を圧倒する。

 蓮は見守ってくれるファンに感謝の挨拶をした後、「紫夕くんプロデュースのライブに参加できて、昨日はなかなか寝られませんでした」とワクワクしていた気持ちを明かす。そして演奏を務めるメンバーに「いけますか?」と問いかけると、深幸が「いつでもどうぞ♪」と応え、「メリッサ」と「Butter-Fly」を続けて披露。広がる音はどこまでもフレッシュでありながら、貫禄すら感じさせる安定感だ。そして、この編成でラストに届けられたのは「V.I.P」。ここだけの特別なバンドであることがもったいない! と感じるほどの演奏で締めくくった。

 続いて、Argonavisの的場航海(演:前田誠二)、GYROAXIAの曙 涼(演:秋谷啓斗)、εpsilonΦの二条 奏(サポート:めんま)のベース3人組が登場。ここではボーカルを航海、キーボードを涼、奏がベースを務めるという貴重な編成で、まずは「季節は次々死んでいく」が演奏された。航海はトップバッターの凛生同様、1曲フルでメインボーカルを務めるのは初期のライブ以来だ。楽器を持たない航海がステージ中央に立っているのも新鮮だが、それ以上にしっかりと“聴かせる”ボーカルであることにあらためて驚かされる。

 MCでは、「まさか桔梗と蓮から歌のバトンを受け取ることになるなんて」と、このライブならではの経験だと話す航海。一方、メンバー紹介を受けた涼は「宇宙と金色のお魚の導きでワクワクしてる!」と言い、その魚は名古屋名物のしゃちほこだと教えてもらった航海と一緒に、“しゃちほこポーズ”をして和む場面もあった。
続いて披露された「サクラミツツキ」はどこか切なさの残るナンバーだ。一部やや複雑な関係性があるとも言える3人だが、演奏する姿は実に楽しげに見える。歌い終わった航海は、深々とお辞儀をして「歌うことが楽しくてしょうがないっていう、蓮の感情がわかる気がする」と話し、ラスト曲を一緒に歌うことになった涼は「ケンケン(航海の兄の里塚賢汰から『弟をよろしく』って言われた」と微笑んだ。ステージの中央で歌い合う2人を、「プラネタリウム」という曲名どおり、たくさんの光の粒が照らし出していた。

 ライブ後半戦、ステージに上ったのは“宇治川紫夕 スペシャルバンド”だ。ボーカルはεpsilonΦの宇治川紫夕(演:榊原優希)、ギターにFantôme IrisのZACK(サポート:YOUSAY)、ベースに奏、ドラムに深幸というまさにスペシャルな構成の4人が奏でるのは、「I’m picking glory」。こちらは奏が作った(という設定の)楽曲で、ねじれた愛情を音にしたかのような不穏さが魅惑的なナンバーである。ささやくような、かと思えば叫ぶような紫夕のボーカルは妖しく美しく、耳を捉えて離さない。触れれば怪我をしそうな緊張感の中、紫夕は歌い終わりに自らの頭を撃ち抜くポーズでステージが暗転。鳥肌が立つようなパフォーマンスだ。

 「こんばんは、僕のおもちゃたち。拍手が小さいなあ? ……あははっ! やればできるやん」と、柔らかな京都弁で過激な言葉を投げかける紫夕。演奏隊にも「ええおもちゃや」と言い放つが、ろくに名前を覚えていない様子の紫夕に、深幸が「おいおい、おにーさんはおにーさんだけどさ……」とツッコミを入れ、代わりにメンバーを紹介する。
どこかピリピリした空気の中、次に披露されたのは初披露となる「フォニイ」。εpsilonΦによく似合うボーカロイド曲だが、紫夕は原曲ママの高いキーで歌いこなしてみせた。無邪気な子供のようだったり、すべてをあざ笑うかのようだったり……と、紫夕は変幻自在に歌声を操る。εpsilonΦの音を紛うことなきバンドサウンドにしてみせる演奏隊も、言わずもがなさすがの実力だ。続く「Sake it L⓪VE!」が終わる頃には、ステージは完全に“宇治川 紫夕たちが織りなす世界”に塗り替えられた。
 すっかりご機嫌な様子の紫夕は、観客やメンバーに感謝の言葉を述べ「また、僕と遊んでな」とつぶやく。おもちゃ箱をひっくり返したように賑やかでポップな「Play With You」を終えると、紫夕はほんの一瞬だけ笑みを浮かべ、振り返らずにステージを去っていった。

アンコールでは、前回のコンセプトライブに引き続き、キャストたちがおんぶしたり談笑したりしながらステージに再登場。秋谷さんがドラムセットに、宮内さんがキーボードの前に立って笑いが起きる。そして、素の姿に戻ったキャストたちがトークに花を咲かせている中で、この日のライブの打ち明け話があった。
今回は紫夕がセトリやバンド編成をプロデュースしたという設定だったのだが、紫夕の選曲基準は「どんな曲をやったらおにーさんたちの心を抉れるか(良い音が出るか)」だったとのこと。蓮に関してはノータッチだが、凛生のセトリは「高校時代」、航海は「兄との関係」、涼は「星(宇宙)の否定」という、それぞれのトラウマを刺激するものだったそうだ。なお「プラネタリウム」は、秋谷さんがアレンジを手掛けたことも明かされ、後日SNSでは、Argonavis五稜結人役・日向大輔さんが、「ドラマチック」のアレンジと「大切なもの」「サクラミツツキ」のコーラスを担当、Fantôme Irisのサポート・冬真さんが「フォニイ」のアレンジを手掛けたたと伝えられた。

さらにこのアンコールでは、秋谷さんご本人(10月28日)と紫夕(10月30日)の誕生日サプライズもあった。2人の顔がプリントされたかわいらしいケーキが登場し、出演者全員で「ハッピーバースデー」を歌い、彼らを祝った。紫夕を演じる榊原さんは「紫夕の経験や想いを楽曲に込めるのが楽しい」と、これからも彼の成長や歌を表現していたけたらと話した。

 そして最後に、全員を代表して榊原さんからライブの感想とメッセージが送られた。

榊原優希(宇治川 紫夕役):
「今日(ライブを)やってみて、歌うってやっぱり楽しいなと思いました。表現する楽しさを、ライブをするごとに感じています。紫夕くんらしさをどうすれば表現できるかと考える時間も楽しいです。わかりやすく言えば文化祭みたいな(笑)、どんなものを披露しようかと思考する過程も好きです。今日はみなさんの前でそれを披露できて、とてもとても嬉しくて、楽しかったです。今後ともよろしくお願いします。頑張ります!」

 ラストの曲は、紫夕と蓮のツインボーカル&オールキャスト参加の「シュガーソングとビターステップ」だった。キャストたちは所狭しと動き回り、踊り、野球をし(?)、アットホームな雰囲気で観客を笑顔にさせる。会場全体がカラフルなペンライトの光でキラキラと輝き、胸を熱くする光景が広がった。先日の「風太のお祭りフェス」が文字通り「お祭り」なら、今回は紫夕が開いた「パーティー」と言えるだろうか。ちょっと生意気で素直ではない紫夕だが、この光景はきっと、彼の中でも忘れられない素敵な思い出になったことだろう。

 本コンセプトライブツアーは、Fantôme IrisのFELIXによる11月3日の「ARGONAVIS Concept LIVE TOUR FELIX Presents Spooky Halloween Night」(Zepp Sapporo)を残すのみとなった。次はいったいどんな景色を見せてくれるのか、大いに期待して待ちたい。

[取材・文]玉尾たまお

公演概要

公演名:ARGONAVIS Concept LIVE TOUR 宇治川紫夕 Presents TOY’S
日時:2022年10月29日(土)
会場:Zepp Nagoya
出演:
榊原優希(宇治川紫夕役)
伊藤昌弘(七星 蓮役)
前田誠二(的場航海役)
森嶋秀太(桔梗凛生役)
秋谷啓斗(曙 涼役)
宮内告典(界川深幸役)

Support Members:
Gt.YOUSAY
Gt.芝山武憲
Ba.目黒郁也
Ba.めんま

セットリスト

トイズセッションチームA(凛生、大和、絋平、深幸)
01.「ドラマチック」(Cover)
02.「青い栞」(Cover)
03.「大切なもの」(Cover)

トイズセッションチームB(蓮、大和、絋平、深幸)
04.「READY STEADY GO」(Cover)
05.「メリッサ」(Cover)
06.「Butter-Fly」(Cover)
07.「V.I.P」(Cover)

トイズセッションチームC(航海、涼、奏)
08.「季節は次々死んでいく」(Cover)
09.「サクラミツツキ」(Cover)
10.「プラネタリウム」(Cover)

宇治川紫夕 スペシャルバンド(紫夕、YOUSAY、めんま、深幸)
11.「I’m picking glory」
12.「フォニイ」(Cover)
13.「Sake it L⓪VE!」
14.「Play With You」

ALL CAST
En1.「シュガーソングとビターステップ」(Cover)

国内配信視聴チケット

価格:¥4,400(税込)
受付期間:~11月4日(金)21:00
アーカイブ期間:~11月4日(金)23:59まで
受付URL: https://eplus.jp/argo_conceptlive2022-st/

※海外配信はございません

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