「Argonavis × GYROAXIA LIVE 2023 スタートライン × KICK-START」オフィシャルレポート

　2023年9月8日、LINE CUBE SHIBUYA（東京）にて、ボーイズバンドプロジェクト「from ARGONAVIS」が「Argonavis × GYROAXIA LIVE 2023 スタートライン × KICK-START」を開催した。これはプロジェクトに登場するバンド、Argonavisが2023年5月に行ったツアー（「Argonavis LIVE TOUR 2023 -スタートライン-」）と、同年8月のGYROAXIAのツアー（「GYROAXIA LIVE TOUR 2023 KICK-START」）のダブルツアーファイナルとして実施されたものだ。両バンドの対バンは2021年5月以来となり、声出し解禁以来としては初の開催となる。

　台風が近づく悪天候の中、会場は3階席までいっぱいの観客で埋め尽くされていた。“出航”を告げる汽笛の音が鳴り響き、優しいピアノの音から始まるBGMが聴こえてくる。ギターの五稜結人（演：日向大輔）、ベースの的場航海（演：前田誠二）、キーボードの桔梗凛生（演：森嶋秀太）、ドラムの白石万浬（演：橋本祥平）が配置につき、最後にボーカルの七星 蓮（演：伊藤昌弘）が登場。蓮が「皆さんの声を聴かせてください、渋谷！」と叫び、オープニングの「スタートライン」が始まった。彼らの過去と新たなスタートを5人で歌うこの歌に、観客も大きなコーラスで応える。続いて、イントロで早くも大歓声が上がった「Steady Goes！」、会場一体となって手拍子で盛り上げた「Reversal」へ。彼らの音は、ここまでの活動でいくつもの経験を経て着実に成長し、ある種の自信と余裕を感じさせるほどだ。

　結人が「今日はGYROAXIAとのダブルツアーファイナル。最高の対バンにするから、最後までついてきてくれよな！」と叫ぶ。続いてメンバーが一人ずつ挨拶すると、歓声や拍手とともに“ツッコミ”のような掛け声もあり、笑いが起きる一幕もあった。朗らかな雰囲気のなか、蓮は「久しぶりの那由多くん……GYROAXIAの皆さんとのライブ、これまでとは違う感情が僕たちの中にあります」と言った。そして「僕たちの“今”の音楽を聞いてください」と、「命のクリック」を披露。この曲では、蓮が歌詞を一部変えて「（辿り着いた今日を）綺麗だと思う人がこんなにいる！」と客席に向かって叫ぶ姿に胸が熱くなる。続く「僕の日々にいつもいてよ」、「迷い星」もミドルテンポのナンバーで、胸に秘めた想いがそのままストレートに届くようなエモーショナルさに溢れていた。あまりにも優しく、寄り添うようなあたたかさに心を強く揺さぶられ、涙が出るようなひとときだった。

　MCタイムでは、メンバーの近況報告があった。Argonavisはアポロレコードに所属しプロになることになったが、航海と凛生はインプットに励んだり、レーベルのスタッフに勉強させてもらったりと曲作りのための努力をしている様子だ。万浬は凛生と体力づくりに勤しみ、結人は関係者と会食などで交友関係を広げているのだという。蓮はこれまでと変わらずいつも歌っているらしく、こうしてメンバーや観客たちと一緒に歌えるのが本当に幸せだと笑顔を見せた。

　結人が「ここからは大きい声を聴かせてください！」と叫び、「Hey! Argonavis」を披露。ここでは凛生がショルダーキーボードでステージ前方に現れ、竿隊とともに演奏する姿に大歓声が上がり、次の「What-if Wonderland!!」で会場の多幸感がピークに達した。そして、歌い終わった蓮が「まだ、一緒に歌ってくれますか？」と声をかけ、「ゴールライン」サビのコーラスを練習する流れに。少し凝ったメロディやロングトーンにもついていく観客にメンバーたちも嬉しそうな表情だ。次の「VOICE」もまた否応なしに盛り上がり、永遠にクライマックスかのような時間が続いた。5人は今日、「自分たちらしい音楽を届ける」と宣言していたが、まさにArgonavisにしか生み出せない、最高にハッピーで熱い時間を贈ってくれた。
　そして、Argonavisのターンのラスト。蓮は函館での結成から今日までを振り返り、自分たちの前にはずっとGYROAXIAがいたと語った。でも今は彼らと対等なステージに立った、全身全霊でぶつけると「JUNCTION」を演奏。Argonavisの楽曲の中でも特に“強い闘志”を感じさせる激しい歌に、会場はこれ以上ないほどの熱狂に包まれ、その余韻がいつまでも続いていた。

　ライブ後半は“ジャイロの時間”だ。車のエンジン音が響き、ステージが真っ赤なライトで彩られる。ギターの里塚賢汰（演：橋本真一）、美園礼音（演：真野拓実）、ベースの曙 涼（演：秋谷啓斗）、ドラムの界川深幸（演：宮内告典）がスタンバイすると、最後に現れたボーカルの旭 那由多（演：小笠原 仁）がゆったりと顔を上げ、「上等だ七星。GYROAXIAの音楽でねじ伏せてやる」と蓮の“宣戦布告”に応じ「The last resort」を披露。那由多は観客たちに「よお渋谷。全部燃やして帰れよ」と告げ、スクリームで会場を制圧する。次の「Freestyle」は生演奏ならではのパワフルさに満ち、音源とは異なる魅力を見せた。すると今度は那由多が「やれ」と合図を出し、礼音が「声出せお前ら！」と客席に向かって叫ぶ。深幸のドラムを囲むように礼音、涼、那由多、賢汰が立ち、那由多のスクリームとともに一斉に散らばるという、痺れるようなアクションで投下されたのは「WORLD IS MINE」。開幕のたった3曲でステージも観客も戦闘力がフルチャージ、触れれば火傷するような熱い空気で満たされた。

　曲間ではArgonavis同様、大きな声でメンバーの名前がコールされる。声出し解禁ならではの雰囲気の中、賢汰が「Argonavisとのダブルツアーファイナル、渋谷公演へようこそ」の挨拶と短いメンバー紹介へ。続いて演奏されたのは「MILESTONE」。単調とは程遠い構成の楽曲を難なくこなしたかと思えば、続いて涼のピアノソロが始まった。ライブならではのアレンジが施された「REVOLUTION」で、那由多が“歌え”とばかりに客席にマイクを向け、観客も大きな歌声で応えた。そして次の「IGNITION」では、イントロに合わせて那由多がハミングする。彼の内面が色濃く映されたという本曲は、GYROAXIAの中でもひときわ心の深いところを揺さぶられる歌かもしれない。曲中、センターに向かって歩いてきた賢汰とすれ違いざま、那由多が小さく「行け」と合図しているかのように見える場面もあった。ただ激しく攻撃的なだけではない、“感情”が垣間見えるかのような音。“王者”だからこその孤独や苦悩が、美しい音楽として昇華されていた。

　那由多が一度ステージから捌け、楽器隊によるMCタイムが始まった。夏のツアーも今日で最後ということで、ここまでに公演で訪れた地方について思い出を語り合う4人。涼は美味しかった食べ物をたくさん挙げ、一方の礼音は、仙台（8月13日／仙台GIGS）と名古屋（8月20日／Zepp Nagoya）でゲストアクトを務めたFantôme Irisについて、GYROAXIAと同じメンバー構成なので勉強になったと答えていた。

　ここからはGYROAXIAのターン後半へ。礼音が客席にコールを煽ると、那由多が「ぬるい煽りしてんじゃねぇ」と登場、「Breaking the ROCK!!」を叩きつける。大地に響くようなヘヴィで力強いドラムと骨太な演奏、シャウトとウィスパーを繰り出して聴く者を翻弄する那由多の歌声、観客のコールの一体感。本曲は比較的新しい楽曲だが、このバンドにとって新たな“ブチ上げ曲”のひとつと言えるような盛り上がりだった。そして間髪入れず始まったのは、GYROAXIAきっての踊れるナンバー「GETTING HIGH」、超絶スピードのラップで圧倒する「DANCING PARANOIA」だ。彼らは観客を、場内の空気を自在に操り、文字通り会場全体が大きく揺れていた。そんなこの上なく熱いエネルギーで充満する中、竿隊3人がセンターに躍り出て「MANIFESTO」へ。観客が「King of the world!!」とコールする光景は、ここにいる全員がGYROAXIAというバンドを崇め讃えるかのようにも見えた。
　歌い終えた那由多が「いい夏になったかよ」と呟き、客席から歓声が上がる。そして「俺は俺の音楽で世界を獲りにいく。覚悟を決めたんだろ――刻みつけろ」と、本編最後を飾る「ALL MY PARTS」を演奏。全編英語詞の本曲は、これまでで最も那由多の過去や内面に近づいたと言っても過言ではない。プロとして新たなスタートを切った今、誰にも邪魔することの出来ない5人の覚悟を感じさせる歌とも言える。メンバーの誰もがこの日一番の真剣な表情を見せ、その音と感情が生み出す余韻の中、彼らはステージを去っていった。

　アンコールでは、両バンドのメンバー10人が、キャラクターではなく“素”のキャスト自身として再登場。ステージ上ではバチバチにぶつかり合うこともあるキャラクターたちだが、素のキャスト陣は誰と誰の組み合わせであっても一緒に騒げる仲良しで、「（楽屋で）誰が一番うるさい!?」などと盛り上がる。ツーマンとしては約２年ぶりだからなのか、久しぶりの共演が嬉しくて仕方ないといった様子だった。
　情報コーナーでは、「from ARGONAVIS」と「ゲキクロ」こと「GEKIROCK CLOTHING」のGYROAXIA限定コラボが予約開始になったことが告知された。さらに新情報として、リリース予定の新アプリ「キミステ」（「アルゴナビス -キミが見たステージへ-」）と「RED° TOKYO TOWER」のコラボが2023年10月に開催されることと、2024年1月にGYROAXIAとFantôme Irisほかが出演するスペシャルイベントの開催が決定したと発表された。そして最後に、キャスト全員の演奏と歌唱で「STARTING OVER」が披露され、大盛況のうちにすべての演目が終了となった。

［取材・文］玉尾たまお
Photographer：西槇太一

公演概要

公演名：Argonavis × GYROAXIA LIVE 2023 スタートライン × KICK-START
出演：Argonavis（七星 蓮:伊藤昌弘、五稜結人:日向大輔、的場航海:前田誠二、桔梗凛生:森嶋秀太、白石万浬:橋本祥平）
　　　GYROAXIA（旭 那由多:小笠原 仁、里塚賢汰:橋本真一、美園礼音:真野拓実、曙 涼:秋谷啓斗、界川深幸:宮内告典）

9月8日（金）LINE CUBE SHIBUYA
開演 18:00

セットリスト

01. スタートライン/Argonavis
02. Steady Goes！/Argonavis
03. Reversal/Argonavis
04. 命のクリック/Argonavis
05. 僕の日々にいつもいてよ/Argonavis
06. 迷い星/Argonavis
07. Hey! Argonavis/Argonavis
08. What-if Wonderland!! /Argonavis
09. ゴールライン/Argonavis
10. VOICE/Argonavis
11. JUNCTION/Argonavis
12. The last resort/GYROAXIA
13. Freestyle/GYROAXIA
14. WORLD IS MINE/GYROAXIA
15. MILESTONE/GYROAXIA
16. REVOLUTION/GYROAXIA
17. IGNITION/GYROAXIA
18. Breaking the ROCK!! /GYROAXIA
19. GETTING HIGH/GYROAXIA
20. DANCING PARANOIA/GYROAXIA
21. MANIFESTO/GYROAXIA
22. ALL MY PARTS/GYROAXIA
En1. STARTING OVER/ALL CAST

国内配信視聴チケット

価格：￥4,400（税込）
受付期間：8月12日(土)21:00～9月14日(木)21:00
配信開始時間：9月8日(金)18:00～
アーカイブ期間：～9月14日(木)23:59まで
受付URL：https://eplus.jp/argoxgyro2023_st/

海外配信視聴チケット

価格：￥4,400（税込）
受付期間：8月12日(土)21:00～9月14日(木)21:00
配信開始時間：9月8日(金)18:00～
アーカイブ期間：～9月14日(木)23:59まで
受付URL：https://ib.eplus.jp/argoxgyro2023_st

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