from ARGONAVIS Official Site
2024.01.11Live/Event
2024年1月5日、ボーイズバンドプロジェクト「from ARGONAVIS」(以下、「アルゴナビス」)とアニプレックスの「バンドやろうぜ!」(以下、「バンやろ」)が、TOKYO DOME CITY HALLにて「from ARGONAVIS × バンドやろうぜ! SPECIAL LIVE - CROSSOVER -」を開催した。本ライブには、「アルゴナビス」からGYROAXIAとFantôme Irisが、「バンやろ」からOSIRISが出演。プロジェクトの垣根を超えた熱い一夜を繰り広げた。
記念すべきライブへ最初に登場したのはFantôme Irisだ。ボーカルのFELIX(演:ランズベリー・アーサー)が優雅な口調で新年の挨拶を告げ、一転して「全力でかかってこい!」と叫ぶ。ヘヴィーなサウンドに体の芯まで震える「ザクロ」、燃えるような情熱を疾走感あふれるギターに昇華した「Into the Flame」と畳み掛け、会場は早くも熱狂の渦となる。観客たちは手を高く掲げながら、あるいは激しく頭を振りながらその音に身を任せる。それはこれまでのFantôme Irisのライブとは異なっていながらも、 “信仰”に似た感情を抱かせる彼らのステージをさらにリアルなものにする光景だった。
3曲目の「XX in Wonderland」は、バンド独自の世界に誘われ、深く沈み込んでいくようなナンバーだ。Fantôme Irisは、吸血鬼の王をはじめとした5人が、人間と吸血鬼が共存できる王国の建国を目指して旅をしている……という“設定”のバンドである。ボーカルのFELIXを始めとし、ギターのLIGHTとZACK、ベースのHARU、ドラムのDによる荘厳な世界観。そして何より、美しさと強さを併せ持つ確かな演奏力で人々を魅了するバンドなのだ。
FELIXがライブを見守る眷属(Fantôme Irisファンの愛称)と観客にお礼の言葉を告げ、LIGHTが運んできた“ワイン”で喉を潤す。これは彼らのライブではすっかりお馴染みとなった一幕だ。MC明けは、彼らの看板曲のひとつである「銀の百合」、ひとつの舞台を見るかのような壮大さを感じさせる「Janus」へ。そして、シンプルながらよりヘヴィさを増した特別なアレンジで楽曲の新たな魅力を引き出した「棺の中のセラヴィ」を続けて投下。スタートからたった数曲でありながら、すでにライブ終盤かのような充足感と、「もっと観せてほしい」との渇望感で情緒が狂わされる。
FELIXが“別の世界”の住人たちとの宴に喜びと感謝の言葉を述べ、「2024年、皆と過ごす時が輝かしい日々になることを願って」と、最後に「Brilliant Days」を演奏した。本曲は、バンド結成から紆余曲折を乗り越え、プロという世界へ歩を進める彼らにとっての新たなる決意と門出の歌だ。開幕から圧倒的な存在感を見せつけたFantôme Irisは、初めて彼らの音を聴いた人にも、きっと深く心に刻まれたことだろう。
次のOSIRISは、黒を基調としたダークでミステリアスな衣装に身を包んで登場。ボーカルの高良 京(演:小林正典)が、マントで身を隠し仮面を外す。静かなギターの音色から脈打つような熱が一気に爆発する「Darkness」は、OSIRIS初期の代表曲でもある。高すぎる歌唱力と妖艶さを持つ京の歌声を支えるのは、ギターのレイ・セファート、ベースの来栖真琴、ドラムの小金井 進の3人が奏でる熱く骨太なサウンドだ。続けて演奏された「Desire」はほぼ前奏なしで歌が始まり、一息つく間もなくOSIRISの世界へ叩き込まれる。この流れもまた「これこれ、OSIRISのライブはいつもこうなんだよ!」と叫びたくなってしまった。
「お前らの声を聴かせろ! 歌え!」と京が叫び、次の「Chain」へ。メタな記述になるが、実はこの楽曲は「バンやろ」のサービス終了後に書き下ろされ、「デュエル・ギグ2023」で初めて生演奏されたものである。今回はOSIRISがどういうバンドか伝わりやすいセトリにするという前情報のとおり、新旧織り交ぜての構成となっているようだ。
普段は口数の少ない京がMCを始めたところで、なんとFantôme IrisのFELIXが再登場。FELIXはOSIRISの演奏に感銘を受け、一緒に歌わせて欲しいと申し出る。京が「俺たちについてこれるのか?」と静かに問いかけると、FELIXは「頑張るよ」と余裕の笑みで返す。そして、発表当時「バンやろ」内外でも大きな反響を呼び、未だに高い人気を誇る伝説の暴れ曲「Bloody Masquerade」を披露。異なる世界の住人の歌声が絡み合い、京がFELIXの手を取るなど、まさに奇跡の音と光景の一幕となった。
FELIXがステージを去り、京が「(吸血鬼であるFELIXに)十字架が効かなかった……」と戸惑う姿に客席から笑いが起きる。ここでメンバー紹介があり、楽器隊の3人が仮面を外す。作中におけるOSIRISを解説すると、全員が20代前半の彼らはライブを中心に活動し、高い音楽性と完成された世界観からメジャーデビューの噂も囁かれていたバンドだ。つまり立ち位置としては、「アルゴナビス」に登場するバンドと非常に近い。OSIRISは和気あいあいとした仲良しの集まりとは言い難いものの、彼らもまた運命の絆で結ばれたバンドと言えるだろう。
OSIRISのターン後半は、比較的後期の楽曲「Beyond the Limit」でスタートした。サビで高く突き抜ける高音が気持ちいいこの曲では、客席のハンドクラップが一斉に揃い「一体ここにいるのはどのバンドのファンなんだろう?」と感じるほどだ。同じく後期の曲ながら、極めて攻撃的で尖った楽曲「Re:incarnation」でフロアを最高潮まで盛り上げたのち、京は「自分たちの音楽が誰かの生きる糧になれれば」と「Dreams」を熱唱。そしてOSIRISがラストに演奏したのは「Heavenly Breeze」だった。激しくぶち上げる曲はまだいくらでもある中、彼らがあえてこの一曲を選んだことに、自身の音楽に対する絶対的な自信を感じ、ただ息を呑んで聴き入るほかなかった。
ラストに登場したGYROAXIAは、まずは挨拶代わりとばかりに看板曲「MANIFESTO」を披露。ここまであまりにも圧巻のステージが続いていたことで、メンバー間に少なからず緊張はあったはずだ。だが、そんな心配は全くの杞憂だったと思わされるほどの迫力とカリスマ感――。冒頭から「This is GYROAXIA! いくぞ!」と叫ぶボーカルの旭 那由多(演:小笠原 仁)のむき出しの闘志からも、彼らもまた新たな刺激を受けて火がついたのかもしれない。畳み掛けるように続いたのは「Freestyle」。これは「MANIFESTO」など初期の荒削りなイメージから一皮むけ、より洗練されたサウンドで新たな一面を見せた楽曲だ。相手が誰だろうが絶対に負けないという気迫がビシビシと伝わってきた。
ここでギター兼リーダーの里塚賢汰(演:橋本真一)が口を開き「Fantôme IrisとOSIRISのステージには衝撃を受けた。自分たちもイベントのトリにふさわしい演奏で花を添えさせてもらう」と宣言。続いてギターの美園礼音(演:真野拓実)、ベースの曙 涼(演:秋谷啓斗)、ドラムの界川深幸(演:宮内告典)が挨拶と自己紹介をする。GYROAXIAは天性のボーカリストであり“王者”である那由多が絶対的な中心だが、音楽を全うする覚悟はメンバーの誰も負けてはいない。
そんな彼らが次に演奏したのは、つい先日発表されたばかりで生演奏も初の「Fighting Spirit」。これはまさに、三つ巴で戦うこの日にぴったりの楽曲と言える。続く「Breaking the ROCK!!」では、治安悪目なサウンドと絞り出すような那由多のスクリームに酔わされた。観客は両手を高く掲げ、叫び、GYROAXIAの音を全身で浴びている。しばしの静けさののち、次に演奏されたのは「HELLO」。2021年発売の1st Album「ONE」に収録された本楽曲は、高い人気を誇りながらも今日まで生演奏がされてこなかった楽曲だ。極めて難易度が高いはずの本曲をここで披露したことに、またしても彼らの強い闘志を感じて鳥肌が立った。
曲が終わり、涼が競演バンドとの触れ合い秘話を披露する。その流れでステージ袖からOSIRISの京を連れてくると「キョンキョンも一緒に歌おうと思って!」と笑顔を見せた。またしても戸惑う京に、那由多が「やれるんだろうな?」と凄む。京は「もちろん」と応え、「Existence」が披露された。ボーカル2人は飛び散る火花が見えそうなほど激しく睨み合い、お互いの歌声をぶつけ合う圧巻の一幕となった。
京が去り、再び5人になったステージから放たれたのは「DANCING PARANOIA」。ドラムにギター、ベースと音が重なっていき、生まれた音の渦が観客を踊らせる。眩しい光とうねる音が混じり合い、文字通り熱狂は最高潮に達した。最後に賢汰が挨拶の言葉を述べ、GYROAXIA、そして本編のラストを飾る「ALL MY PARTS」へ。これは全編英語詞であり、自身のことをほぼ語らない那由多の心情を深く掘り下げたミディアムナンバーだ。心にずしりと感じる重みと得も言われぬ余韻を残し、メンバーがステージを去り、本編が幕となった。
アンコールには全メンバーが再びステージに登場。「アルゴナビス」のスタイルで言うと、ここからは全員がキャラクターではなく素のキャストたちによる楽しいひとときだ。今回は「アルゴナビス」の土俵に「バンやろ」が参戦するという形で行われていたのだが、ボーカルを務めたキャストどうしもお互いのバンドの曲を聴いていたという話や、今回のセトリについてのエピソードなどのトークで盛り上がった。
総勢14名、全員演奏・歌唱による「ピエロ」では、旧知の仲であるメンバー同士や、新たな繋がりができたキャストたちが和気あいあいとはしゃぎ合う。そして最後に、メンバーを代表して各バンドのボーカルからメッセージが送られた。
「OSIRISのパワーを知っていたので食らいついていけるか不安もありましたが、今日はすごく楽しい時間を過ごさせていただきました。今回のコラボだけで終わったら寂しいので、またこうやって対バンさせてほしいです! ファントムもまだまだ活動していくので、次はそれぞれのワンマンライブにも足を運んでいただけたら嬉しく思います。」
「こんな機会をいただけて本当に嬉しかったです。一回きりじゃもったいないコラボですよね! アルゴナビスさんもそうですが、「バンやろ」にもまだまだバンドがいるので、(観客の)皆さんも聴きたいですよね!?(笑) その声が上に届けば実現するかもしれません。こんな時代ですが、夢は見るだけじゃなく叶えていけたらと思います!」
「こんなに楽しくやらせていただけたのが本当に光栄でした。両プロジェクトが再び集まって、またこんな幸せな空間を叶えられたら嬉しいです。皆さんがそうやって熱望してくださるのも、本当に「アルゴナビス」と「バンやろ」が愛されている証拠だと思います。今日は本当にありがとうございました!」
そして最後の最後に演奏された曲は、OSIRISのオリジナル楽曲「Voice」。これはGYROAXIAの「MANIFESTO」やFantôme Irisの「銀の百合」同様、始まりの看板曲といえる立ち位置の楽曲だ。ステージでは、キャスト陣がカラーボールを客席に投げ入れる光景が広がっていた。これも「バンやろ」のライブではお馴染みのことで、「アルゴナビス」から「バンやろ」という先輩コンテンツに向けての大いなるリスペクトを感じるとともに、この奇跡の景色にあらためて胸が熱くなった。
高い実力と他の追随を許さぬ完成された世界観で魅了し、圧巻のひとときを繰り広げたFantôme Iris。挑戦者として単身乗り込みながら、圧倒的な歌と演奏で観客を震わせたOSIRIS。そして、メンバー全員がキャラクターの声を務めるキャストと共通のバンドでありながら、プロに混じっても全く遜色ない演奏で会場を制圧してみせたGYROAXIA――。いわゆる“対バン”形式とはいえど、どのバンドも素晴らしく決して白黒つけられるものではなかったと思う。キャスト陣も口を揃えるように、一度だけではあまりにも惜しいライブだった。願わくはこの「約束された奇跡」の光景を、この先何度でも見たい。そう思わずにはいられない一夜だった。
[取材・文]玉尾たまお
Photographer:西槇太一
公演名:from ARGONAVIS × バンドやろうぜ! SPECIAL LIVE - CROSSOVER -
出演:GYROAXIA, Fantôme Iris, OSIRIS
1月5日(金)TOKYO DOME CITY HALL
開演 18:00
01.ザクロ/Fantôme Iris
02.Into the Flame/Fantôme Iris
03.XX in Wonderland/Fantôme Iris
04.銀の百合/Fantôme Iris
05.Janus /Fantôme Iris
06.棺の中のセラヴィ(Special version) /Fantôme Iris
07.Brilliant Days/Fantôme Iris
08.Darkness/OSIRIS
09.Desire/OSIRIS
10.Chain/OSIRIS
11.Bloody Masquerade /OSIRIS×FELIX from Fantôme Iris
12.Beyond the Limit/OSIRIS
13.Re:incarnation/OSIRIS
14.Dreams/OSIRIS
15.Heavenly Breeze/OSIRIS
16.MANIFESTO/GYROAXIA
17.Freestyle/GYROAXIA
18.Fighting Spirit/GYROAXIA
19.Breaking the ROCK!!/GYROAXIA
20.HELLO/GYROAXIA
21.Existence/GYROAXIA×高良京 from OSIRIS
22.DANCING PARANOIA/GYROAXIA
23.ALL MY PARTS/GYROAXIA
En1.ピエロ/ALL CAST
En2.Voice/ALL CAST
価格:¥5,500(税込)
受付期間:2023年12月27日(水)18:00 ~ 2024年1月11日(木)21:00
配信開始時間:2024年1月5日(金)18:00~
アーカイブ期間:~2024年1月11日(木)23:59まで
受付URL:https://eplus.jp/argo_banyaro2024/st/
価格:¥5,500(税込)
受付期間: 2023年12月27日(水)18:00 ~ 2024年1月11日(木)21:00
配信開始時間:2024年1月5日(金)18:00~
アーカイブ期間:~2024年1月11日(木)23:59まで
受付URL:https://ib.eplus.jp/argo_banyaro2024
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