from ARGONAVIS Official Site
2025.01.22Live/Event
ここ数年、ボーイズバンドプロジェクト「from ARGONAVIS」の恒例となった年始ライブ。
2025年の最初を飾る公演は、作品に登場するArgonavisと風神RIZING!に加え、多数の楽曲提供などでプロジェクトとは深い関わりのある、FLOWとROOKiEZ is PUNK‘Dの2バンドを迎えての対バンとなった。
場内が暗転すると、すべての観客が立ち上がって手拍子を開始した。眼の前の幕には、ステージの向こう側にいるメンバーたちのシルエットが浮かび上がっている。その幕が取り去られると、FLOWのメンバー、Argonavisのボーカル・七星 蓮(演:伊藤昌弘)、風神RIZING!のボーカル・神ノ島風太(演:中島ヨシキ)、ROOKiEZ is PUNK‘DのボーカルSHiNNOSUKEが現れ、総勢8名による「GO!!!」が投下された。FLOWのオリジナルである本曲は、過去のArgonavisのライブで何度もカバーされてきたものだ。会場にいるナビ(「from ARGONAVIS」ファンの愛称)たちも、そのほかのバンドのファンも、全員が一体となって飛び跳ね、拳を上げる。FLOWのボーカル・KEIGOの先導で会場中に大きなウェーブが巻き起こり、開幕からお祭りのような空気でいっぱいになった。
この特別な公演のトップバッターを飾るのは、KEIGO(Vo.)、KOHSHI(Vo.)、TAKE(Gt.)、GOT’S(Ba.)、IWASAKI(Dr.)で構成される5人組バンド・FLOW。開幕、青空の向こうまで伸びていきそうなツインボーカルが心地良い「COLORS」の演奏の次は、KEIGOが観客に向け「ライブはここにいる俺たち(メンバーと観客)にしか作れないんですよ。ライブは、音楽をとおして俺たちがつながれる場所です」と告げ、2025年が最高の一年になるようにと願いを込めた「流星」へと続く。今いる場所や立場が違ってもみんな繋がっている――そんな想いが詰まった歌詞やオーディエンスの合唱に胸が熱くなった。
MCでKEIGOは、ギターのTAKEが多数の楽曲を「from ARGONAVIS」に提供してきたことに触れ、「ようやく対バンができた!」と笑顔を見せた。2023年にデビュー20周年を迎えたFLOWは、今年ビルボード横浜で新たな編成によるライブを予定しているほか、ワールドツアーに加え、去年立ち上げた“アニソンロックフェス”も行うそうだ。ベテランの域に達しながらもますます精力的な活動を続けるFLOWだが、次の曲は思わず闘志が湧いてくるような「LOVE & JUSTICE」、耳に残るエレクトロサウンドが印象的な「Answer」、曲に込められたメッセージが心に響いた「Sign」と、ほぼ休みなく熱すぎる演奏を繰り出してみせる。会場にいる誰がどのバンドのファンなのかがまったくわからないほど、全員が一体となって盛り上がっていた。
FLOWのターンの最後を飾ったのは「GOLD」。今この瞬間を楽しもう! と、メンバーも観客も一緒になって縦ノリのリズムに身を任せ、凄まじいグルーブ感が生まれていた。大きな大きな全員ジャンプも決まり、全6曲が一瞬に感じられるほどの充実感で、この時間が終わるのが惜しいほどかけがえのない時間だった。
余談だが、FLOWのメンバーは翌日に海外公演を控えていたそうで、アンコールには出演せず空港に直行する予定になっていたとのこと。そんな状況にもかかわらず出演して最高のステージを披露してくれたことに、感謝の気持ちでいっぱいになった。
再び暗転した会場に、稲妻を思わせる黄色い閃光が走る。次にステージに登場したのは“長崎からやって来た大学生スカバンド”風神RIZING!だ。観客もメンバーも「楽しいが一番」をモットーに掲げる彼らが最初に選んだのは、勇ましさにパラメータを全振りした「フウライ出陣歌!」。縦横無尽にステージを駆け回る風太が「正月ボケしてる場合じゃなかよ!」と観客を煽り、続けて疾走感あふれる「ランガンラン」へ。偉大な共演者に囲まれた大きなステージでもプレッシャーを感じさせず、むしろ過去のライブよりもフウライがバンドとして熟してきたように目に写ったのは、きっと筆者だけではなかったはずだ。
トロンボーンの若草あおい(演:酒井広大)によるメンバー紹介を挟み、3曲目は「FLYハイハイ」だ。ここまでの3曲でかなり“かっこいいフウライ”が連続してお出しされているが、フウライ初の英語詞が入った本曲は「(主に風太の)英語力不足で途中から日本語の歌詞になった」というエピソードがあったりすることを書き添えておきたい(※作中の話)。
次に、一昨年の“真冬の野音”で初披露された、みんなで一緒に歌うコーレスが楽しい「フウライパーティーバイブ」を経て、音頭のようなアレンジやメンバーが作る「NAGA」の人文字に観客も思わず笑顔の「NAGASAKI讃歌」へ。ラストは「この会場を日本で一番アツい場所にする」と風太が告げた「フウライ全力ジャンプ」だ。 フウライきってのブチ上がりナンバーに観客が沸くと、ステージに突然イグアナが……! それはなんと、メンバーがシェアハウスで飼っているグリーンイグアナのレックスのコスプレをしたTAKEだったのである(※TAKEは本曲の制作者でもある)。曲中のお遊戯会風アレンジの箇所では、フロントメンバーとTAKEの5人が肩を組んで揺れるという、なんともレアすぎる光景に笑わされた。面白要素も満載すぎるステージに笑いながらも、音楽に本気で取り組むフウライのかっこよさにノックアウトされた最高の時間だった。
休憩を挟み、後半戦の最初はロックバンド・ROOKiEZ is PUNK‘Dが登場。この日はSHiNNOSUKE(Vo.)とRYOTA(Ba.)のほか、サポートとしてICCHAN.(Dr.)とFantôme IrisのZACK(ライブのみ)のメンバーとしてナビにもお馴染みのYOUSAY(Gt.)が参加。1曲目は「from ARGONAVIS」に登場するバンド・GYROAXIAも何度かカバーしていた「IN MY WORLD」で会場のボルテージを一気に上げてみせる。続けて投下された「リマインド」を聴きながら、とてつもない“説得力”に言葉を失ってしまう。極限まで削ぎ落とされた彼らのサウンドはナイフのような鋭さがありながら、同時に涙が込み上げてくるようなあたたかさも感じたのだ。
MCでSHiNNOSUKEは、年明けに最高の対バンがやれて本当に幸せだと話す。そして、「from ARGONAVIS」に想いを込めて楽曲を書き下ろしてきたことを伝えながら「良い曲ばかりだから返してほしい」と冗談を言って笑いを取る。また、観客たちがペンライトを振って応援してくれることが嬉しいと笑顔を見せながら「すでにそうしてくれてる人も多いけど、次の曲はぜひ赤で」と言い、GYROAXIAに楽曲提供した「IGNITION」を披露。真っ赤に染まったフロアの光を眺めながら、ジャイロの炎もROOKiEZ is PUNK‘Dが点火したそれも、曲の色合いは違えど、どちらも同じくらい熱く燃え盛っている――そんなことを感じさせる圧巻すぎる1曲だった。
情感あふれる「song for…」から、全員でジャンプして会場を揺らせ! と上下左右に観客も揺れまくった「Party up」、全員一体となっての大合唱が響いた「リクライム」へ。ここまでの楽曲を終えたSHiNNOSUKEは「やばい、めっちゃ楽しい」と観客に感謝を伝えた。そして、バンド活動を休止して間もない頃、本プロジェクトから楽曲提供の声がかかったことが「自分を音楽から離さないように引き止めてくれた」のだと話す。さらに「僕らはキラキラした姿は見せられないけど、必死に生きてもがいている姿を見せるのもみんなへ勇気を与えることなんじゃないかと思う」と想いを吐露し、ラストの「コンプリケイション」を熱唱。それに応えて観客が大きな歌声で応える光景と音楽はあまりにも美しく、いつまでも耳に残った。
記念すべき対バンの最後を飾るのは、“函館出身の大学生ロックバンド”Argonavis。彼らがこの日のステージの最初に選んだのは「MILKY WAY」だ。これは、ちょうど1年前のライブで“希望の歌”と伝えていた1曲だ。揺るぎない芯の強さに加え、爽やかさや甘さをも感じる蓮の歌声は、前回のライブからさらに深みを増したかのように聴こえて胸を打たれる。かと思えば、エッジの効いたロックナンバー「Reversal」ではキーボードの桔梗凛生(演:森嶋秀太)がラップで蓮と掛け合いを聴かせ、Argonavisの高い実力を見せつけた。続いて、白石万浬(演:橋本祥平)の力強いドラムから展開する「JUNCTION」もこのバンドのソリッドな一面を感じさせる楽曲で、その痛快さに思わず笑顔になってしまう。ラストに蓮が「こんばんは! Argonavisです!」とフィニッシュを決め、会場に大きな拍手と歓声が起こった。
ギターの五稜結人(演:日向大輔)から始まる自己紹介を経て、Argonavisのターン後半へ。「Y」では、曲前に蓮がサビでの“Y”振り付けとコーラスを指南。女性視点の淡い恋心を歌う切なくも可愛らしいナンバーに、ほっこりとあたたかい気持ちになる。ステージが七色の光で照らされた「Anthem」では、背後に現れた蓮とベースの的場航海(演:前田誠二)に結人が驚き、ステージ上を駆け回る姿に笑いが起きる一幕も。続く「VOICE」はメンバー5人がボーカルを取り、歌で想いを紡ぐ1曲だ。あらためて、なんというドラマティックなメロディなのだろうと胸の中がいっぱいになった。
メンバー一同から、年始のフェスの成功を喜ぶ声と観客への感謝の言葉が届けられ、最後に蓮が口を開いた。「本当に最高の一日でした。心が熱くなる瞬間がいっぱいあって……でも、もっと歌いたい。もっと皆さんと歌いたい」と言い、ラストの「ゴールライン」が演奏された。この曲は“今がゴールではない、ここからが始まりだ”と歌うナンバーだ。これを聴くオーディエンスの多くは、それぞれの想いを胸にしながら耳を傾けていたことだろう。そんな中ふいに蓮が声を詰まらせ、腕で顔を覆いながら下を向いた。観客が蓮の分まで声を合わせて歌い、結人が駆け寄って蓮の肩を抱き「歌え!」と叫ぶ。そんな結人の顔もまた、涙に濡れていた。再び顔を上げた蓮は最後に、限界まで声を出し尽くし叫ぶように歌った。――あのときのメンバーたちの想いは他人が推し量れるものではない。けれどあの一瞬、ここまでに登場した3バンド、もっと言えばプロジェクトがスタートから繋いできた全員の想いが形となり、観客とひとつになってかけがえのない瞬間が生まれたことは間違いない。今思い出しても涙が出てくる、奇跡のような時間だった。
アンコールは、先日発表されたばかりのArgonavisの新曲「will」でスタートした。「from ARGONAVIS」はアンコールの時間、キャラクターではなく“素”の姿で過ごすのがお約束だ。ここからは演奏を終えたArgonavisキャストに加え、風神RIZING!、そしてROOKiEZ is PUNK‘Dの面々がステージに再登場し、ライブの感想トークなどに花を咲かせた。海外公演のため一足先に会場をあとにしたFLOWを除き、各バンドを代表して贈られたボーカリストからのメッセージは以下の通りだ。
あらためて今日はありがとうございました! 今回、自分たちの(バンドの)曲をこんなに楽しんでくれたのもすごく嬉しかったんですが、コロナ禍で声が出せないとき、みんなのこういう声が聴けたらいいのにって想像しながら作った曲もあったので、みんなの声が聴けてめちゃくちゃ嬉しかったです。本当にありがとうございました!
フウライも最初のライブからけっこう数をやってきたなという感じもしますが、6月にはまたワンマンライブがあります! 今日はバンドの皆さんのパワーやハートをすごくたくさんいただいたステージだったなと思います。プロジェクト内でのライブも良いですが、こうした形のライブもたくさん受け取るものがあったので、皆さんも明日から頑張ろうって思っていただけたんじゃないかなと。今年はほかのバンドもたくさんライブをするので、皆さんも受け取ったものをこっちにぶつけてもらいたいです!
2025年はすごく大切な1年だと思っています。今日はその1発目として本当に素敵な景色を見ることができました。コンテンツ内の対バンとはまた違う熱さを感じられましたし、素晴らしい方々と共演させていただけたのは、皆さんがずっと応援してくださって、一緒に頑張ってきた仲間がいるからだなと。今年「from ARGONAVIS」はほぼ毎月誰かしら、どこかしらのバンドがライブをします。それぞれ真剣に向き合いつつ、皆さんに良いものを届けようと思っていますので、行ったことのないバンドのライブでも気軽に遊びに来てくださると嬉しいです。今年もよろしくお願いします!
最後は「楽しく終わろう!」ということで、風神RIZING!の「バンザイRIZING!!!」を3バンドのメンバー・キャスト全員で演奏。お祭り騒ぎのような賑やかさで、会場中の全員が笑顔になるフィナーレだった。
キャストからも言及されたとおり、2025年の「from ARGONAVIS」はほぼ毎月のペースでライブを行う。きっとどの公演も、特別で大切なものになることだろう。本プロジェクトが生んだ最高のバンドによる最高のライブを、ぜひ多くの人に体験してほしい。
[取材・文]玉尾たまお
Photographer:白石達也
公演名:from ARGONAVIS SPECIAL LIVE 2025 - CROSSING STAGE -
日時:2025年1月11日(土)
開場 17:00 / 開演 18:00
会場:TOKYO DOME CITY HALL
出演:
Argonavis
七星 蓮:伊藤昌弘、五稜結人:日向大輔、的場航海:前田誠二、桔梗凛生:森嶋秀太、白石万浬:橋本祥平
風神RIZING!
神ノ島風太:中島ヨシキ、若草あおい:酒井広大
Support Member Gt.椿 大和:芝山武憲、Ba.早坂絋平:目黒郁也、Dr.五島 岬:RYOTA
FLOW
ROOKiEZ is PUNK'D
01. GO!!!/FLOW feat. from ARGONAVIS、SHiNNOSUKE
02. COLORS/FLOW
03. 流星/FLOW
04. LOVE & JUSTICE/FLOW
05. Answer/FLOW
06. Sign/FLOW
07. GOLD/FLOW
08. フウライ出陣歌!/風神RIZING!
09. ランガンラン/風神RIZING!
10. FLYハイハイ /風神RIZING!
12. フウライパーティーバイブ/風神RIZING!
13. NAGASAKI讃歌/風神RIZING!
14. フウライ全力ジャンプ/風神RIZING!
15. IN MY WORLD/ROOKiEZ is PUNK‘D
16. リマインド/ROOKiEZ is PUNK‘D
17. IGNITION(Cover)/ROOKiEZ is PUNK‘D
18. song for…/ROOKiEZ is PUNK‘D
19. Party up/ROOKiEZ is PUNK‘D
20. リクライム/ROOKiEZ is PUNK‘D
21. コンプリケイション/ROOKiEZ is PUNK‘D
22. MILKY WAY/Argonavis
23. Reversal/Argonavis
24. JUNCTION/Argonavis
25. Y/Argonavis
26. Anthem/Argonavis
27. VOICE/Argonavis
28. ゴールライン/Argonavis
EN1. will/Argonavis
EN2. バンザイRIZING!!!/Argonavis・風神RIZING!・ROOKiEZ is PUNK‘D
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