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2025.06.26Live/Event

「風神RIZING!LIVE 2025 - 音楽最高大好きRIZING!!! -」オフィシャルレポート

ボーイズバンドプロジェクト「from ARGONAVIS」に登場するバンド・風神RIZING!が、2025年6月21日、GARDEN新木場FACTORYにて「風神RIZING!LIVE 2025 - 音楽最高大好きRIZING!!! -」を開催した。本ライブは、風神RIZING!にとって2023年12月の日比谷野外大音楽堂での公演以来2度目のワンマンライブとなる。真冬の野音から、真夏のように暑い日のライブハウスへ――奇しくも真逆の環境下となったライブの模様をお伝えしていく。

 ……とはいえ、実は前回の“真冬の野音”は、12月にもかかわらず東京での最高気温が20度を超す奇跡のような一日だった。そして今回は“梅雨はどこにいった!?”と驚くほど、6月としては記録的な暑さの晴天になったのである。これもまた、「長崎の太陽」を自称する風神RIZING!(以下、フウライ)らしいと言えるかもしれない。集まったファンは今か今かと開演を待ちながら、BGMに合わせてコーレスの練習をする様子が微笑ましい。

 ベースの早坂絋平(声:阿部 敦) とドラムの五島 岬(声:吉野裕行)による賑やかな影ナレののち、メンバーが1人ずつ現れる。最後に登場したボーカル&サックスの神ノ島風太(演:中島ヨシキ)がステージ中央の台に上がると、それを合図に「バンザイRIZING!!!(Short size)」でライブの幕が開いた。次の「フウライ出陣歌!」は、合いの手を入れるようなコーレスが楽しく、魂が燃える一曲だ。かと思えばそこから一転、“幻影のあの女(ひと)”に向けた切ない恋心を歌う「フラレタ男のラブレター」へ。心なしか、歌の主人公である岬も思いの丈をぶつけるかのようにドラムを響かせていた……ような気がする。続いては全員が一体となって手拍子&コールで盛り上がる「フウライパーティーバイブ」だ。オーディエンスは手を高く掲げ、風太に応えて声を上げる。本公演の前に「予習」として多数の曲のコーレス動画が公開されていたのもあり、練習の効果はバッチリだ。5人の繰り出す音楽に、観客の熱と声が加わって大きな一体感が生まれている。これこそがフウライのライブだ! と胸が熱くなった。

 一息ついて、トロンボーンの若草あおい(演:酒井広大)が「長崎からやって来た風神RIZING!です。皆さんに会えて本当に嬉しいです!」とニコニコの笑顔を見せる。メンバー紹介ののち、肩を組んだ風太とあおいが天を指差し「ダチフレンド」とコール、2人のボーカルによるハッピーなナンバーが届けられ、ラストのハグにも歓声が上がった。そこからの「上京上等行ってきまーす☆ 」もコーレスが楽しい一曲で、歌詞の通り「騒いで叫んでどこまでも飛べる」ような気持ちになってしまう。続いては、なんと今回が初の生演奏となる「風神大運動会」だ。この曲は2021年に発表されていたものの、これまでにも生演奏もされていなかった待望のナンバーなのだ。風太とあおいはそれぞれに白旗と赤旗を持ち、応援団のごとく振り回しながら会場を盛り上げる。さらには風太がアドリブで「ウェーブやってみるばい!」と促すと、フロアに光の波が現れた。

 ここで、ギターの椿 大和(声:金子 誠)による幕間のボイスドラマ が始まった。大和はバンド内唯一の東京出身で、幼馴染どうしで結成されたバンドの中では異質な存在だ。そんな大和から見た、メンバーどうしの繋がりや風太の兄の朔太郎との別れ。自分のやりたいことしか考えてこなかった大和が、誰かのために何かしたいと立ち上がり、仲間になれたことに心からの喜びを感じる――そんな様子が笑いあり涙ありで語られ、フロアから大きな拍手が上がった。
 そして、ステージは大和がソロで熱唱する「Fragment」へ。本曲は前回の野音ワンマンでも披露したものだが、今回はドラマからの流れでより深く感情が揺さぶられる。続いてはこちらも大和フィーチャー曲の「ランガンラン」。風太が「走れ!」と叫び、スピード感あふれるサウンドが会場を揺らす。大和のターンはさらに続き、往年の面白動画&弾幕コメント風映像の演出が楽しい「NO RICE NO LIFE」へ。風太と大和によるツインボーカルで聴かせる本曲は、面白さとかっこよさがメーターを振り切りまくっている。

 再びMCタイムへ。ここで大和がコーレスをしたいと申し出るのだが、「コーラ&サングラス」「コール&スロー」などとお馴染みのボケを連発、あおいのツッコミに笑いが起きる。その空気のまま、「FLYハイハイ」でライブは後半戦へ突入。爽快感あるサウンドが心地よく、頭上には見えないはずの青空が広がっていくようだ。曲が終わると絋平が中央の台に飛び乗り、パワフルすぎる指弾きベースを炸裂させる。曲はもちろん、みんなの兄貴・絋平のフィーチャー曲「夢見るBoy守るため」だ。現在の優しく穏やかな姿からは想像しにくいが、かつては地元長崎で負け知らずだった絋平。強さと包容力を併せ持つ漢(おとこ)が奏でるスラップベースソロは、天衣無縫のかっこよさだ。これに痺れない人間がいるのだろうか? いやいない!

 続いて2つ目のボイスドラマが始まった。朔太郎との別れをようやく乗り越えたメンバー5人が、揃って長崎の墓地にやってくる。風太と大和が買い物に行っている間、朔太郎の墓前で話しかける絋平とあおいと岬。東京での生活やプロデビューしたこと、子供の頃かくれんぼの鬼が上手だったという朔太郎との思い出……少ししんみりしたところで、風太と大和がすごい量の花(と花以外の何か)を抱えて戻ってきた。
 そしてステージは、バラード曲「longing」へ。かつての絋平の気持ちに寄り添ったこの曲は、切なくも包み込むような広がりのあるナンバーだ。ここまで元気いっぱいに歌っていた風太の声は、まるで別人が歌っているのではないかと感じられるほど色合いが変わっていた。コーレスで盛り上げる楽曲でいっぱいのセトリの中、ただその歌を、サウンドをじっくりと味わうひとときだ。「longing」で降っていた雨は、次の「SWORD!」で止み、気がつけば輝くような晴れ間が広がっていた。オーディエンスは掲げた手をあおいに合わせて左右に振り、風太が指差す先を見守る。生演奏が初となる「虹を超えて」では、ついにスクリーンの青空に虹がかかる。この楽曲は、悲しみを乗り越えた風太たち5人によって作られたものだ。曲の終盤、風太が“サクタロー”と名付けたサックスの音色が響く中、ステージの誰も立っていない一角にスポットライトが当たる。風太がその場所を見つめ、スクリーンに広がっていた虹の輝きは、いつの間にかステージとフロアを照らしていた。その光景はあまりにも美しく、心を深く揺さぶられた。

 ボイスドラマに戻り、「もう少しだけ朔太郎と話したいから」とお墓の前に残った風太が、「今まで忘れてしまっていてごめん。でも、みんなのおかげで全部思い出した」と話し始める。そして朔太郎に向かって、かけがえのない仲間たちとまだ楽しいこと――バンドをやりたいと思ったと告げる。今日の天気や、朔太郎とのたくさんの楽しかった思い出のような、みんなを笑顔にする太陽みたいなバンドになるのだと。そう誓った風太は、メンバーの待つ場所に駆け出していった。
 次の曲は「SunRize ~黄金の太陽~」。会場の雰囲気は一転、「わっしょい! わっしょい!」とタオルを振り回しながら盛り上がるナンバーだ。実は、この曲の実際の制作背景として「夜通し踊り明かすようなイメージで作られた」という話がある。お祭りの始まりではなく、少し日が傾いてきた頃。ひとしきりはしゃいで、けれどまだまだ止めたくないような、そんな時間を思わせる一曲だった。

 楽器隊のセッションを挟み、フウライの故郷・長崎への愛がこれでもかと詰め込まれた「NAGASAKI讃歌」、スカ&ラップ&縦ノリで文字通り会場が揺れまくった「フウライ全力ジャンプ」でエンジン全開・フルスロットルのラストスパートへ。歌い終えた風太が「張り切りすぎた」と息を切らし、あおいも同意する。次が最後の曲という彼らの
言葉に軽いブーイングが起きつつも、風太が「全力で歌って、この会場みんなのキラ
キラな笑顔でいーっぱいにしたかー! オレたちと一緒に輝く未来へ進んでいこうな!」と言い、こちらも生披露は初となる「笑顔のエネルギー」 を演奏。フウライらしく頭をからっぽにして踊り狂うナンバーではなく、比較的落ち着いたミディアムテンポの本曲は「これからも歌い続ける」と誓う彼らのメッセージなのだろう。言葉ひとつひとつを噛み締めたくなるような楽曲で未来へと希望を託し、フウライ2度目のワンマン本編は終了となった。

 アンコールでは、フロアのあちこちから「もってこーい!」というコールが上がった。これは、長崎で行われるライブのアンコールではお馴染みの言い回しだ。その声に応え、ライブTシャツに着替えたメンバーが再び登場し「G線上にY !?」を投下。「何百年もバンドやろう」の歌詞は、ステージを見守るすべてのオーディエンスを笑顔にしたことだろう。

歌が終わり、ここからは“素”のキャストやミュージシャンとしてのトークタイムだ。ソロ曲披露はプレッシャーだったと語る金子 誠(椿 大和 役)に、酒井広大(若草あおい 役)が「あれはずるいよ!」と言ってフロアから笑いが起きる。ちなみに今回のライブでボイスドラマがあったことや、オリジナル曲すべてを演奏したこと、すっかり“アンコールでお馴染みの曲”となっていた「バンザイRIZING!!!」のショートバージョンを冒頭に持ってきたことは、すべて中島ヨシキ(神ノ島風太 役)の提案だったそうだ。

 それから、いつものようにキャストからのメッセージに加え、今回は演奏サポートを務めるメンバーからも挨拶があった。

RYOTA(五島 岬/ドラムSupport Member)

 僕はεpsilonΦのドラムも担当しているのですが、どちらが良い悪いではなくリハーサルの様子が全然違うんですよ。イプシは休みなく淡々とやって、フウライはちょっとやったら誰かが「休憩しましょうか!」って言うんです(笑)。この空気感いいなあと思いますし、毎回こうやって参加させてもらえて本当に嬉しいです。また機会があればぜひ呼んでいただけたらと思います!

目黒郁也(早坂絋平/ベース Support Member)

 ついに(サポートメンバーの)僕たちが喋る時が(笑)。実はキャラクターの格好をしてライブをするのはフウライが初めてで、最初はすごく恥ずかしかったんです。でもファンの皆さんがあたたかく迎えてくれて、「これでいいんだ」と思ってからはすごく楽しくて……回を重ねるごとにチーム感も高まって非常に良いバンドになったと思います!

芝山武憲(椿 大和/ギター Support Member)

 (曲中にメンバー入れ替わりがあった)「ランガンラン」は貴重な経験でしたが、本当に緊張しました(笑)。ギターソロで登場する時の階段はけっこうな高さがあって、転んだら本当にやばかったので無事やれて良かったです。それとステージに出ていない時間があったので、いつもの1.8倍くらい弾き倒してます(笑)。今日一日楽しかったです!

金子 誠(椿 大和 役)

 2回目のワンマンに参加させていただけて本当に嬉しく思っています。僕は大和やフウライのメンバーと出会って、たくさんのことを教わってきました。彼らから学んだのは「おバカでいいんだ」ということと、大和からは「自分の信じる道を疑わずまっすぐ突き進む大切さ」です。絶対にまた皆さんとお会いできると信じていますし、次もフルパワーでフウライの音楽を一緒に楽しめたらと思います!

酒井広大(若草あおい 役)

 さっきお話に出ましたが、リハーサルでは基本的に僕一人でコーラスをやっているんです。 でもこうしてまた本番のステージをやらせていただいて、ファンの皆さんの歓声があってフウライの曲は完成するんだなって思いました。皆さんの声がイヤモニを突き破って聞こえてきた時、ああ、ライブって本当に楽しいんだ、フウライって最高だなって。またいつかどこかでお会いできたら、フウライの楽しい音楽を一緒に作り上げていけたらと思っています。

中島ヨシキ(神ノ島風太 役)

 僕は昔から、とくに音楽が好きだったわけではありませんでした。そんな僕が、気づけばバンドコンテンツのボーカルになっていました。正直プレッシャーも大きかったし、力不足なんじゃないかと感じることも多かったです。でも今、すごく……楽しいです。歌うことが得意だったわけじゃないし、青春時代に音楽があったわけでもありませんでしたが、少しずつ価値観が変わって、皆さんの前で歌うことのが楽しいと思える自分になりました。それは風太や風神RIZING!、 このプロジェクト、そして皆さんのおかげです。
 僕はArgonavisやGYROAXIAが繋いできたバトンを途切れさせないつもりで頑張ってきましたが、いずれプロジェクトを超えてフウライがもっと大きくなって、皆さんにお目にかかれたら嬉しいです。今日が最後のライブだと思っている人もいるかもしれませんが、なるべく早く戻ってくるためには皆さんの声がなくてはならないかなと。きっとまた会いに来ますので、皆さんも会いに来ていただければと思います。本日はありがとうございました。

 そして最後はもちろんこの曲、「バンザイRIZING!!!」。風神RIZING!は作品の中のバンドを現実の人間が演じるリアルバンドだが、こうしてパフォーマンスを見ていると、実際の彼らが生み出す音や空気感が、二次元と三次元の境界線を極めて曖昧にしているように感じられる。それはステージを見守るファンも同様で、きっと作中のファンもこんなふうにあたたかくて、元気いっぱいに声を出し、音楽を楽しんでいるのだろうと思うのだ。たとえ“一区切り”のライブであったとしても、誰もが「本当に楽しかった!」と笑顔で会場をあとにするような。

 本プロジェクトは、ここから順を追って各バンドのワンマンライブを開催する。けれど、悲しまなくてもいい。この日風神RIZING!が見せてくれたのは、希望はちゃんと未来へ繋がっている――そんな風に感じられる景色だったのだから。

 

[取材・文]玉尾たまお
Photographer:白石達也

国内配信視聴チケット

価格:¥5,500(税込)
受付期間:6月13日(金)18:00~6月27日(金)21:00
アーカイブ期間:~ 6月27日(金)23:59まで
受付URL:https://eplus.jp/fujin-rizing2025/st/

※海外配信はございません

公演概要

公演名:風神RIZING!LIVE 2025 - 音楽最高大好きRIZING!!! -
日時:2025年6月21日(土)
   開場 17:00 / 開演 18:00(予定)
会場:GARDEN新木場FACTORY
出演:風神RIZING!
   神ノ島風太:中島ヨシキ、椿 大和:金子 誠、若草あおい:酒井広大
   Support Members Gt.芝山武憲(as 椿 大和)、Ba.目黒郁也(as 早坂絋平)、Dr.RYOTA(as 五島 岬)

セットリスト

M1.バンザイRIZING!!!(short ver.)
M2.フウライ出陣歌!
M3.フラれた男のラブレター
M4.フウライパーティーバイブ
M5.ダチフレンド
M6.上京上等行ってきまーす☆
M7.風神大運動会
M8.Fragment/椿 大和 from 風神RIZING!
M9.ランガンラン
M10.NO RICE NO LIFE
M11.FLY ハイハイ
M12.夢見るBoy守るため
M13.longing
M14.SWORD!
M15.虹を越えて
M16.SunRize ~黄金の太陽~
M17.NAGASAKI讃歌
M18.フウライ全力ジャンプ
M19.笑顔のエネルギー

EN1.G 線上にY !?
EN2.バンザイRIZING!!!

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