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2025.11.07Live/Event

「Argonavis LIVE 2025 - will -」オフィシャルレポート

 2025年11月2日、LINE CUBE SHIBUYAにて、ボーイズバンドプロジェクト「from ARGONAVIS」に登場するバンド・Argonavisが、「Argonavis LIVE 2025 - will –」を開催した。様々なメディアミックスを展開してきた「from ARGONAVIS」は、2025年内に活動休止すると発表したのち、各バンドが1組ずつワンマンライブを行ってきた。今回のライブは、リアルバンド活動を初期から支えてきたArgonavisにとっても、応援するナビ(本プロジェクトのファンの愛称)にとっても、ひとつの大きな節目となる。

作中におけるArgonavisは、函館出身の大学生によるバンドだ。中には初めてバンドを組むメンバーもいたが、実際にキャラクターを演じる側にも、声優や楽器演奏に初挑戦するキャストもいたのである。だからこそ、Argonavisというバンドが数多くの経験を経て成長していく様は、物語と現実世界がリンクしているようにも感じられた。決して手の届かない遠い存在ではなく、すぐ隣で歩幅を合わせて一緒に歩いてくれるような――そんなあたたかさが、Argonavisが広く深く愛される理由だったのではないだろうか。

 この日の会場となるLINE CUBE SHIBUYAは満員御礼で、客席はカラフルなペンライトの光で3階席までいっぱいに埋め尽くされていた。開演時間になり、満天の星空が映し出されたスクリーンがゆっくりと上がり、5人が姿を表した。袖ではなく中央から登場するスタイルは、河口湖ステラシアターで行われた公演(2024年7月「ARGONAVIS REVIVAL LIVE - Starry Line -」)を思い出させる。元気よく拳を突き上げるドラムの白石万浬(演:橋本祥平)。腕組みで微笑むキーボードの桔梗凛生(演:森嶋秀太)。はにかみながらポーズを取るベースの的場航海(演:前田誠二)。盛り上がれ! とばかりに客席を活気づけるギターの五稜結人(演:日向大輔)。そして、観客に向かって深くお辞儀をするボーカルの七星 蓮(演:伊藤昌弘)――メンバーたちは拍手と歓声に包まれながらポジションについた。

凛生のピアノが聞き馴染みのあるイントロを奏でると、客席から大きな声が上がった。最初に披露されたのは「AAside」! 愛着があるファンも多い本曲だが、まさか開幕で聴けるとはという驚きとともに、喜びでいっぱいの空気が広がる。勢いはそのまま「MILKY WAY」へと続いていく。曲終わりでフロントメンバーが中央に集まり、5人で向かい合って目を合わせていたのが印象的だ。「星がはじまる」では、スクリーンに“物語の中のArgonavis”が映し出され、懐かしい出会いに胸がいっぱいになったファンも多いだろう。蓮は最後に「運命を信じろ」と繰り返して歌い、フィニッシュを決めた。

結人が「皆さんこんばんはー!」とMCの先陣を切る。ここからメンバーが順番に挨拶していったのだが、客席からの「かわいい!」の声が聞き取れずきょとんとする様子の蓮に、凛生が「かわいいぞ」と呟く。そして結人、万浬、航海までが「かわいい」と言い合って歓声が上がると、蓮が「皆さんもかわいいです」と返し、客席が大いに湧いた。

 一緒に騒ぎましょう! とスタートした「What-if Wonderland!!」では、会場全体が縦ノリのリズムで盛り上がり、途中のコーラスで精一杯の歌声が重なる。ハッピーな空気は「Breath!」へと続いていき、蓮の力強くどこまでも伸びるロングトーンに大歓声が起きた。包み込むような優しさと一匙の切なさが染みる「Y」は、観客もお馴染みの“Y”ポーズを作り、綺麗な光の粒を揃えた。

 海の中を漂うようなSEが流れるしばしの暗転ののち、始まったのは「Starry Line」だ。映像で映し出される航海の歌詞や数々のスチル。「歌っていいと教えてくれた」と歌うパートでは、結人が蓮に向かって親指を立て、彼らの運命の始まりを思い出させた。メンバー5人が一人ずつ歌い繋いでいく「スタートライン」は優しくあたたかく、その想いとメッセージがまっすぐに響く。ラストの蓮の「星を目指そう」と歌うボーカルは、あまりにも圧巻だった。そして「命のクリック」もまた、一回り存在感を増したArgonavisを感じさせる1曲だ。そのサウンドはただ聴く者に寄り添うのではなく、誰かの背中をグッと押してくれる力強さに満ちている。凄みさえ漂う演奏に、あらためて、Argonavisのバンドとしての成熟を感じた。

 

 演奏を負えたメンバーたちが観客に向けて感謝の言葉を述べ、蓮が「実はこの日のためにとっておきを用意してきたんです」と明かす。それは、5人による初のアコースティックパート だ。「選曲には本当に悩んだ」と凛生が話すと、航海が「いつもとは違った雰囲気で楽しんでもらえるからね」と続ける。結人がアクションつきで「リハでも一人ひとり顔を見合わせながら練習した」と笑いを誘いつつ、万浬のカホンをアピールする。万浬は「あんまりハードル上げないで!」と笑い、和やかな雰囲気に。客席の各階とコーレスを楽しんだあとは、いよいよ演奏だ。
「心を歌いたい Acoustic Ver.」は深い星空に吸い込まれていくようなサウンドが心地いい。観客にとってもはじめて聴くスタイルの5人の演奏のはずだが、 “紡ぎ方”が異なるだけで、Argonavisの楽曲や彼らの音や声には揺るぎない芯のようなものがあることがよくわかる。星たちが降ってくるような舞台演出も美しい「流星雨 Acoustic Ver.」もまた、心を癒やしてくれる1曲だ。そして、アコースティックパートのラストを飾るのは「リスタート Acoustic Ver.」。横並びで演奏する彼らの姿があまりにもArgonavisらしく、必ずこの景色をまた見たいと感じた。歌詞にも登場するオリオン座が、彼らを見守るように浮かび上がっていた。

 ここからはいよいよ後半戦。赤と青の照明、聞き覚えのあるサウンドから繋がっていく見事な幕開けは「JUNCTION」だ。Argonavisの中でも極めてハードな曲調が勇ましく、彼らが“戦えるバンド”だということを示してみせる。余裕さえ感じる演奏に、ただただ「格好いい!」と唸るほかない。続いて大地を揺るがすような万浬のドラムが響き、凛生のしなやかなピアノが絡んでいく。新たなアレンジで始まった「Reversal」もまた、Argonavisのアツい格好よさが光るナンバーだ。サビのフレーズに合わせて一斉にペンライトが上がり、否が応でもボルテージが上がる。次は何が来るのか……と身構えていると、投下されたのは「ゴールライン」。Argonavisにとって始まりの歌である大切な本曲で、再びこの日の公演が持つ意味を思い出して感極まった人も多かったかもしれない。だがこれは「今がゴールじゃない」「終わりはまだ見えない」と歌う希望の歌なのだ。

ここで、航海から観客に向けてメッセージが届けられた。「僕らはまだ、正確な未来図を描けていません。だけど僕らは音楽を続けます。皆さんがArgonavisの音楽を好きでいてくれる限り、この先もずっとです!」と。そして、ありのままのArgonavisが奏でる音楽を待っていてくださいと続けた。この誓いを航海が伝えたのは、きっとこれまでのArgonavisの想いを言葉に変えてきたのが彼だからこそなのだろう。そうして「これが最後の曲です」と5人が披露したのは「will」。ここまでの本編では目でもリリックを楽しめる映像も多かったのだが、この曲ではその映像も、メンバーたちの表情を寄りで映し出すカメラも無かった。ひょっとしたら、ただ5人の音と姿、歌声だけで曲を伝えたいという想いがあったのかもしれない。ありのままの、今この瞬間ここにいるArgonavis――それが強く強く伝わるフィナーレだった。

 

 アンコールに応えて登場した5人は、「きっと僕らは」と「STARTING OVER」を披露。それは、アンコールと言うよりも第2部といっていいほどの迫力と盛り上がりだ。「STARTING OVER」は結人がサビも歌う特別ver.。ベース&ギターソロでは結人が航海の肩に手を回し、2人が拳を合わせる様子に、バンドの始まりの両翼の友情を感じ胸が熱くなった。次の「VOICE」では、リアルバンドとしてのArgonavisの歩みを振り返る映像がスクリーンに映し出された。いつだって懸命で、どんな時も強い絆を感じさせてくれた日々が愛おしく懐かしい。
 最後の曲は、「演奏する姿を写真や映像に残して、SNSで広めてほしい」とのメンバーの意向で撮影が可能になった。そして蓮が「僕たちからの約束を受け取ってください」と告げ、「雨上がりの坂道」を披露。さよならの後も、きっとまた会える――そんなフレーズが、強く心に残った。演奏を終えた5人は、ファン一人ひとりを慈しむような笑顔で手を振り、ステージを後にした。

 ダブルアンコールではライブTシャツに着替えたメンバーが登場、“素”のキャストとしての時間だ。まずは旅の始まりの歌である「Steady Goes!」を投下、「宜候!」の歌詞に合わせた伊藤の指差しも懐かしい。キャラクターではなく普段の彼らによる演奏もまた、本編とはまた違う楽しげな雰囲気で仲の良さを感じさせてくれた。それから、メンバーひとりひとりからメッセージが届けられた。

橋本祥平(白石万浬 役)

    今日という日が待ち遠しくもあり、怖くもありました。でもそんな想いを大きく覆すくらいの一体感と楽しさで、「Argonavisで良かった」と心から思えるひとときでした。みんなで演奏をするのはこんなにも楽しいんだって思いましたし、皆さんの声や熱もこちらにすごく届いています。募る想いはほかのみんなが言ってくれると思うので(笑)、僕は「楽しかった」って言えるだけで良かったです! また必ずやろう、ありがとう!

森嶋秀太(桔梗凛生 役)

 いやー、僕も過去一楽しかったです! なんか今日は不思議だったんですよ。メンバーのみんなとも「落ち着いてるよね」って話してました。何故かわからないですが、今までで一番落ち着いて楽しくArgonavisの楽曲と向き合えて、皆さんと楽しい空間を共有できたなって思ってます。もちろん今までのライブも全て楽しかったですが、積み重ねてきたものが今皆さんに届けられたのかなと、幸せな気持ちでいっぱいです。また絶対ワンマンやりたいですね!

前田誠二(的場航海 役)

 楽しかったですねー! 僕はめちゃくちゃ後ろ向きな人間なんですが、ふと過去を振り返ったとき、この歩みの中にはたくさんの楽しく輝かしい思い出がありました。皆さんに宝物をもらってたんだなと、あらためて実感したライブでした。本当にこのメンバーや見てくれる皆さんと出会って幸せでした。今日を控えて風邪を引かないように……と外を出歩かないくらい楽しみにしていたので、一緒にこの日を迎えてくれてありがとうございました!

日向大輔(五稜結人 役)

 ライブや練習をしていると、音楽って生き物だってつくづく思います。皆さんきっと、Argonavisには好きな曲や1曲1曲に思い出が詰まっていると思いますが、僕たちにもそれがあるんですよ。この7年、楽しいことや苦しいこともありましたが、そういう感情を全部ひっくるめて今日、ここで皆さんと一緒にこの時間を過ごせたことが宝物だと僕は思っています。出会っていただいてありがとうございます! 「またここに戻ってくる」って、ちゃんとスマホで撮りましたよね?(笑)また会いましょう!

伊藤昌弘(七星 蓮 役)

 僕たちは皆さんより早く(プロジェクトの)活動休止を聞いていました。心に穴が開くってこういうことなんだなという気持ちになりましたが、それでもこうして皆さんの前でワンマンライブをし、挨拶できるって本当にありがたいことだと思っています。あらためて皆さん、本当にありがとうございます。
 今日は皆さんに「絶対に良いArgonavisを見せてやろう」って思っていました。こんなに良いArgonavisは見たことがないっていうくらい楽しんでほしくて、そりゃもう僕たちみんな気合を入れて臨みました。まだコンテンツとしてはライブが残っていますので、来られる方はぜひ一緒に楽しんでいただきたいです。
 ふと思ったんですが、キャラクターのみんなってずっと戦ってますよね!? でもそんな中で音楽や仲間や自分を信じて希望の歌を歌ってるんですよ。今度はその意志を、皆さんと僕が託されたんじゃないですか? 僕はそう捉えています。これから、僕も皆さんも日々の生活に戻ります。キツイし孤独なこともあるけど、そんなとき「Argonavisが希望を歌う」って思い出してほしい。まずは自分たちの道を歩いていったその先で、また再会できることを願っています。Argonavisボーカル担当 七星 蓮 役、伊藤昌弘でした。ありがとうございました!

 挨拶を終えた伊藤が「同じ曲もう1回やっていい?」と言い、5人はこの日の最後に「ゴールライン」を届けた。キャラクターとして、そしてキャストとしての2つのゴールライン。観客は声を限りに歌い、会場中がとてつもない熱に包まれた。5人は強い絆に結ばれているが、それを応援するナビたちもまたかけがえのない仲間なのだとわかる。お互いを想う気持ちが心を熱くし、忘れがたい景色を作り出していた。最後に5人は客席に向かって何度もお辞儀をし、名残惜しそうに手を振っていた。客席を見つめながら、万感胸に迫る想いを表情に浮かべるメンバーたち。その姿はきっと、すべての観客の心に刻まれたことだろう。

 リアルバンドのArgonavisが初めてライブを行ったのは2018年7月のこと。当初は日向と前田と森嶋による3人の演奏で、そこから伊藤と橋本が加わり、5人での初のフルライブは2019年5月に開催された。そこから7年近く、Argonavisはプロジェクトのリアルライブ活動を牽引し続けてきた。長い時間が流れたが、お互いを信じ合い、支え合い、希望に向かってただひたすらに進んでいるところは、きっと何ひとつ変わっていない。
 そんな5人がしてくれる約束だからこそ、信じて待ち続けられる。また会える日まで希望を胸に、彼らの音楽を響かせ続けよう。

 

[取材・文]玉尾たまお
Photographer:西槇太一

国内配信視聴チケット

価格:¥5,500(税込)
受付期間:~11月8日(土)21:00
アーカイブ期間:~ 11月8日(土)23:59まで
受付URL:https://eplus.jp/argo-will/st/

※海外配信はございません

公演概要

公演名:Argonavis LIVE 2025 - will -
日時:2025年11月2日(日)
   開場 17:00 / 開演 18:00
会場:LINE CUBE SHIBUYA
出演:Argonavis
   七星 蓮:伊藤昌弘、五稜結人:日向大輔、的場航海:前田誠二、桔梗凛生:森嶋秀太、白石万浬:橋本祥平

詳細:https://argo-bdp.com/live/post-40808/

セットリスト

M1. AAside
M2. MILKY WAY
M3. 星がはじまる
M4. What-if Wonderland!!
M5. Breath!
M6. Y
M7. Starry Line
M8. スタートライン
M9. 命のクリック
M10. 心を歌いたいAcoustic Ver.
M11. 流星雨Acoustic Ver.
M12. リスタートAcoustic Ver.
M13. JUNCTION
M14. Reversal
M15. ゴールライン
M16. will

EN1. きっと僕らは
EN2. STARTING OVER
EN3. VOICE
EN4. 雨上がりの坂道

WEN1. Steady Goes!
WEN2. ゴールライン

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